フルクサス的なパフォーマンスの現象学だが、「聴取」概念の
思弁の垂れ流しはすこし冗長か。アポリアという結論も、もはや金太郎飴だ。
しかし論そのものは、音楽的行為を「語る」ことの典型でもあり、佐々木モデル
とも呼ぶべきアプローチはよいと思う。とはいえ、後半が演劇論なように、
これはやっぱり大書の「現代アート」のパフォーマンス論なんだろう。
ちょっと物足りないのは、そういったなかで(前半は)「不確定性を愛でる
ゲーム的な身体アート」だけを採りあげているのに、フォーサイスのような
モダンダンスが抜け落ちていること。もったいない。それから頭に、漱石が
引用されているが、やはり美学的な「即興」概念をもうすこし掘り下げないと、
どこまでいっても、単にオートマティスムを体験した腕利きライターの感想文に
なってしまうだろう。
あ、でも語り口は、いいです。読者を引きこむ組み立てはうまいです。