フェロモン匂いたつような超絶セクシーかつ精力絶倫・テクニシャンでしかも性格は誠実そのもの、強い倫理観を持ち、家族思いの青年医師が一人の女性と出会い、ただ一人の人と思い定める・・・ というと下手な作家が描けばあまりにも現実離れして却って白けるというもの。
しかし、この作品に限ってはその心配はありません。この医師は人間外の存在、デーモンなのですから。
デーモンという人間外の存在の特性をきちんと踏まえたキャラクターの性格設定、その宿命、また作者は救命士の資格を持っているというだけあって、医療現場の描写などが大変リアリティをもって描かれています。(作者は「聖少女バフィー」や「ER緊急救命室」などのファンだそうで、ちょうどそんな雰囲気です)
ヒーローはデーモンの中でもインキュバスという種族で、その他様々な種類のデーモンが登場し、それぞれの特性がよく描き分けられています。特にヒーローには兄弟がおり、それぞれ母親デーモン種族が違うため、同じインキュバスという性質を共有しながらも、微妙に特質・性質が違う、という設定が話の中で良く生きています。それぞれ皆セクシーなので、彼らの生き生きとしたやり取りは読み応え充分です。
またヒーロー・ヒロイン共に凄惨な背景をもっており、この2人が惹かれあうのは当然と思わせる展開ぶりで、ハーレクインなどで感じがちな「こんな美人なら愛されるだろうけどさ・・・(私じゃダメだ)」という気持ちは全く感じませんでした。
SEXシーンは人間外だけあって大変激しいものですが、この凄惨な人生の2人なら当然、という感じで下品さはまるでありません。
またラブシーンだけでなく、ヒロインを取り巻く謎、奇怪な事件の真相解明も絡まり、サスペンスはあまり好きでない私が一気に最後まで読み進めてしまいました。
とにかく激しく、熱いセクシー小説です。読む価値ありです!他のキャラクターも脇役というには惜しい一人一人の魅力があります。世界設定の確かさ、各キャラクターの多彩さなど、ハリーポッター(には及びませんが)を彷彿とさせます。本作はアメリカではシリーズ化して2009年春にヒーローのセクシー兄弟を主役とした2・3作目が出るということです。本作では解明しきれなかった謎も分かるかも?ということなので、翻訳が待ち遠しいです。