昭和史の論客が集まっての論談集。
テーマ別に簡単な「報告」があって自由に討論する。思ったほど堅いものではなく、初めはお堅い読み物と思ったが、読み進むとなかなか面白い。「国破れてハダカあり」「当用漢字」とかの文化論もあり、いずれも戦中戦後に多感な時代を過ごした論者それぞれの、そのナマな体験や感想も面白い。
「パンパン」とか「オンリー」さんとか、占領軍の米兵や軍属、宣教師、その家族との交流など、今の日本人はほとんど忘れてしまっている。沖縄問題なんかは、こういう皮膚感覚をともなった理解なしでは本当の解決はできないような気さえする。
昭和史論をひととおり心得ていて改めて論点をさらっと俯瞰してみるのもよし、団塊世代が自らの時代の出発点を懐かしむもよし、安保世代や高成長世代に染みついた思い込みを見直すきっかけづくりもよし、だ。
結局、ずっとふたをしてしまって謎のまま、国民が忘れかけていることは多い。ある種の神話がつくられ信じ込まされていることもあるだろう。当時のそのままに固定化された善玉、悪役・敵役が歌舞伎でも見るように「実は…」ということも大いにあり得る。
いま、政権交代で何が変わるかが問われている。とんでもない事実が突然明らかになってあわてふためかないように、戦後史をもっと勉強しておいたほうがよいかもしれない。占領時代はその原点には違いない。