一読して、手堅い、というのが印象です。
天眼通という、千里眼のような能力を持った貧乏浪人が主人公です。
腕は立つものの、それでは食っていけず、天眼通を用いて、客の失せ物探しや、勝負の結果予想などをして金を稼いでいます。
セリフが多少どうかなと思わないでもありませんが、時代劇の雰囲気は十分に出ていると思います。
ストーリー運びも悪くないです。
難を言うと、華やかさがいまひとつです。
おみつ、という薄倖の少女を、著者はマドンナ的な設定としているようなのですが、これがいまひとつ影が薄いのです。
それよりむしろ、第2話で出てきたおさよを、そのままでんとコンビにすえてほしかったです。こちらは元気いっぱいで、ヒロインの素質十分です。1話限りはなんとも惜しいです。
時代劇ファンなら読んで損のない本です。
時代劇ファンでない人は、第3話「老剣客の恋」をなにかの機会に読まれてもよろしいかと思います。独立して、ドラマにできそうな話です。NHKあたりが、「時代劇スペシャル」として、取り上げてくれないものでしょうか。