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単一民族神話の起源―「日本人」の自画像の系譜
 
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単一民族神話の起源―「日本人」の自画像の系譜 [ハードカバー]

小熊 英二
5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

商品の説明

第18回(1996年) サントリー学芸賞・社会・風俗部門受賞

出版社/著者からの内容紹介

大日本帝国時代から戦後にかけて,「日本人」の支配的な自画像といわれる単一民族神話が,いつ,どのように発生したか。
 民族の純血意識,均質な国民国家志向,異民族への差別や排斥など,民族というアイデンティティをめぐる膨大な言説の系譜と分析を行う。
EXCERPT: ここでわれわれは、まず二つの事実を確認しなければならない。一つは戦前の大日本帝国は、多民族国家であったということである。
 こんにちでは忘れられがちなことだが、一八九五年に台湾を、一九一〇年に朝鮮を併合していらい、総人口の三割におよぶ非日系人が臣民としてこの帝国に包含されていた。戦時中の「進め一億火の玉」という名高いスローガンにうたわれた「一億」とは、朝鮮や台湾を含めた帝国の総人口であり、当時のいわゆる内地人口は七千万ほどにすぎない。

登録情報

  • ハードカバー: 450ページ
  • 出版社: 新曜社 (1995/07)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4788505282
  • ISBN-13: 978-4788505285
  • 発売日: 1995/07
  • 商品の寸法: 18.6 x 13.4 x 3.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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98 人中、89人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 史学を利用する政治という構図, 2003/5/14
レビュー対象商品: 単一民族神話の起源―「日本人」の自画像の系譜 (ハードカバー)
本書に依れば、敗戦までは、海外侵略(進出?)正当化の必要性から、朝鮮・中国からの渡来人、南方から来た人々・アイヌ等の混合が日本民族であると説かれることが多かった。「日本民族」がアジア各地から渡来した多様な人々から形成されているのだとしたら、大日本帝国が改めてアジアに進出し版図を拡大することも「自然」であるという理屈だ。この理屈では朝鮮や中国を日本に編入するのも「自然」なことである(なおこの種の思考形式は戦後、半ばオカルトとしての衣を纏ったソフトナショナリズム的言説としての日ユ同祖論等に流用されていった)。

戦後はこの反省から単一民族論が説かれることが多かった。「日本民族」は太古から日本列島で概ね平和に暮らしてきた単一の民族である。戦前は日本民族の伝統」に反し海外侵略したから痛い目を見たのだ、という理屈だ。

戦前と戦後で正反対の理屈が採られたのは社会的ニーズを反映してのことに他ならない。著者はこのような「国際関係における他者との関係が変化するたびに、自画像たる日本民族論がゆれ動くありさま」(p402)を描く。「日本民族の歴史と言いつつ、じつは自分の世界観や潜在意識の投影を語っていたにすぎない」(同)のが多くの民族論の内実であった。昨今の歴史教科書論争などを見る限り、この傾向は今も続いているように見える。

私見を言うと「歴史」とは歴史解釈であり歴史解釈は歴史観に依る。そして歴史観とは人間観の反映である。本書は歴史解釈の検証を通じ、過去の論者の歴史解釈の背景にある歴史観の偏狭、人間観の偏狭をえぐりだしている。人間を描くのに必要なのは「神話からの脱却」であり「少しばかりの強さと、叡智」(以上p404)なのである。自己正当化の手段として歴史を利用することの危うさを感じることができる一冊。

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10 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 洗脳(?)が解けた, 2010/2/17
レビュー対象商品: 単一民族神話の起源―「日本人」の自画像の系譜 (ハードカバー)
日本人はどこから来たのか。この問いは私達を魅了してやまない。

しかし、その答えは政府や国民の思潮によって左右されていくということを、本書を読んで初めて知った。

考えてみれば、それはそうか。だって、自分たちの祖先がどこから来たのかなんて、知っている(覚えている)人は誰もいないのだから。

日露戦争に勝ち、いけいけどんどんで「アジアの盟主」を目指していたころ(昭和初期まで)は、
韓国や中国の人を取り込むために、「日本人はもともと雑種。太古には中国から韓国から大勢の渡来人がやってきて、この日本をつくりあげた」という論を、柳田國男やら何やら、民俗学のスターを使って、発表させる。学者たちも、迎合せざるをえない。
 しかし、「だから古代のように中国や韓国を併合させよう」という展開は、今振り返っても明らかに苦しい……。当時の、学者じしんもくるしんでいた「こじつけの仕方」が、著者が紹介する資料によって、ありありと浮かびあがってくる。

いっぽう、戦争に負けて自信を喪失すると、「日本人はもともと島国根性の単一民族。太古から農業をいとなんで暮らし、外人と接触などしなかった。平和で、『国際的』などではない人々だった。(だから戦争に負けたって仕方がないし、自然)」という論が盛り上がっていく。

こうした、「自分に都合のよい神話」に惑溺することの危険を著者は冷静に語って論を結ぶ。
神話について語った本ではなく、神話の罠について語った本だといってもよい。

 
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81 人中、68人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 日本人は単一民族、これ実は“神話”でしかない, 2004/7/9
レビュー対象商品: 単一民族神話の起源―「日本人」の自画像の系譜 (ハードカバー)
 この著書は日本人は単一民族なのか?日本は単一民族国家なのか?ということを論じているものではない。単一民族論という考え方、“神話”がどのように派生し定着するようになったのか、その学説の起源と変遷を細かく追っている。よく、日本人が国際化に順応出来ない理由として、「やっぱ日本人は単一民族だからなぁ」といったことが当たり前のように言われる。だが、この著書を読むと単一民族論が一般化するようになったのは戦後のことであり、明治以降、戦前までは混合民族論が主流だったという。日清、日露、韓国併合、大東亜共栄圏と、外部を取り込んでいく時勢には混合民族論が幅を利かせ、敗戦後、日本人一丸となって一からがんばっていこうという時勢には単一民族論が持ち上げられる。 単一民族論も混合民族論も“神話”に過ぎず、異なる者同士が共存していくために真に必要なことは神話からの脱却だと著者は結論付けている。“神話”に縛られているのは日本だけではない。メルティング・ポットといういわば混合民族論によって“アメリカ=世界”というグローバリズムを推し進めるアメリカにも“神話からの脱却”を求めるべきかもしれない。国家、民族の協調、共存を考える上で、大変示唆に富んだ著書である。
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