本書は、日本で情報の少ない南米に点在する日系人社会と日本人移住地の現在の様子や諸問題を取り上げていて、南米日系人を理解する格好の書といえる。
南米への移住が始まって100年以上が経過し、これまで多くの日本人が移住し、その子孫を含めて大きな日系人社会を形成している。1990年には、日本の入国管理法が改正されて日系人の入国と就労が容易となり、多くの南米日系人が出稼ぎで来日するようになり、特に、ブラジル系人が著しく、日本の地域社会で南米日系人の共生が問題になっている。また、共に暮らす住み良い街づくり「多文化共生」が課題になっていて、日本と南米の両社会を見ながらの共生についての提言が書かれていて、共生問題の解決方策を考える上で参考になる。
本書では、南米に点在する日本人移住地や日系人社会を取材し、現地の生活の様子を写真で具体的に紹介しているので、楽しく読め、理解し易い。また、現地における現代の諸問題を取り上げていて南米日系人社会の今後を考える上で役立つ書といえる。