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当時の中国は国民党支配の中華民国期であるが、日本の侵攻や共産党勢力、その他列強各国の思惑等で混乱期にあった。華南にあった甘志遠も海賊として力を持っていたが、ある時は日本軍に加勢し日本軍の中国人部隊司令官として、ある時は国民党の反共ゲリラ部隊として時代を生き抜いていった。
面白いのは国民党政府や日本軍が侮れない力を持つ甘志遠などの海賊や山賊などに適当な部隊名と階位を与え、自軍部隊として編入し、利用していた事だ。賊たちも一介の荒くれ者集団から突然正規軍になったので、手柄を立てて自己勢力を認めさせようとする傍ら、戦況を見て寝返るなど、当たり前の状況であった。
甘志遠が勢力を張っていた香港・マカオは当時イギリス領・ポルトガル領という地位にあり、日本陸海軍・日本特務機関・海賊・匪賊・国民党政府・共産党ゲリラ・日本商社・日本人ヤクザ・中国人ヤクザ・各国スパイが入り乱れ、謀略戦を繰り広げられていた地域でもあり、その激動の中、甘志遠が様々な勢力と接触し、しぶとく、時にはしたたかに生き抜いていく様が面白い。海賊兼即席ゲリラ部隊長という立場から見た日中戦争の切り口は新鮮で、読み物としても非常に興味深い作品です。
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