なかなか良く出来たドキュメンタリーというのが、本書を読んで第一の感想だ。文体は簡潔で余計な著者の感想等はほとんどない。ストレートで無駄のない内容も好感が持てる。インタビューや文献の取材から構成されているため説得力があり、興味深い内容に満ちている。
この分野を扱った本というのが、ほとんど無いだけに貴重である。題名こそ、「南極1号伝説」となっているものの、それについてはダッチワイフの歴史の一つとして、軽く触れられるにとどまり、現在、興隆を極めているシリコン製ラブドールに至るまでのメーカーサイドの開発の歴史が詳しく載せられている。
有名なオリエント工業だけでなく、ハルミデザインズ、4woods、LEVEL-Dなどの主な国内メーカーにおける責任者の話が載せられており、それぞれどういうコンセプトを抱いて商品を開発、販売しているのかが良く分かる。開発の裏話や、ドールの内部構造も詳しく書かれており、興味のある人にとっては非常に役に立つ本だと思う。ラブドールは、相方に先立たれた老齢者や、障害者の方々の、切なる想いに応える社会的な存在意義がある。
この本はラブドールについて、それほど興味のない人が読んでも面白く読めると思う。この分野でも日本製は優秀であり、そのノウハウがアクトロイドなどのアンドロイド開発に繋がっているのかと思うと感慨深い。ともかくも、本書は公共図書館にも置いてあるような、極めて真面目な本である。