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全体は四章からなるが、一貫して流れるのは生態学アプローチ。知をつむぎだす、発想・推理・論理、特にKJ法をベースとした総合力と学際を楽々と越えていく行動力、また様々な人との出会いの中でそれを起点としてさらなる発想を得て発展させていく点に、知の探検者としての真骨頂を見た思いがする。
本書を知的探検の記録して読み進めると、第2章の「オキアミの棲み分け」と「偏西風によるゆらぎが海を耕す」という学説を創造するダイナミックなプロセス、第3章の「オキアミの分布密度の減少」という数多の海洋学??を悩ませた謎が、一見無関係そうな「オゾン層破壊」という地球環境問題にたどり着くまでの発想と思考のプロセスが、実に興味深い。
特に世界中の海洋生物学者の耳目を集めたコンペディションの中で、著者が発見・実証した「オキアミの加入量の増減に及ぼす偏西風の影響の考察」は、実に胸のすく思いである。言われてみるとなるほどと思えるものでも、実際にそれを発見し、それを観測データで実証づけていく作業は困難を極めたに違いない。著者はその間の大胆な発想がどのような状況の中から生まれたのか、思考の飛躍がどのような人との出会いから生まれたのかなど、発想や思考の軌跡を客観的に克明に綴っている。
ここから、著者の知的探検手法の一端を垣間見ることができる。分野を問わず大いに刺激を受けることになろう。そして、同時に南極の自然に満ちたフィールドワークの醍醐味もたっぷりと味わうことができるだろう。以上が、多くの方々に本書をお勧めする所以である。
そう、わずか百余年で時代は変わってしまった。そして、「豊饒(ほうじょう)」と「破壊」の海、現代(いま)だから言及できる、現代(いま)だからこそ考えなければならないと、ひしひしと感じられた。
著者の仕事場として従事してきた南極海が、ずっしりと凝縮されてある。言いかえるなら、この一冊は、私たちが今までおぼろげに想像していた極限の海を、自ずと真のそれとしてイメージできるようになっている。
凍てつく南極海(ハード)の中にペンギンの初々しい声(ソフト)が聞こえてくる、まさに南極ガイドブックみ!たいである。
南極海における歴史、地理、物理環境から化学、生物生態へとそしてそれを利用するヒトに至るまでわかりやすくまとめてある、科学探検入門書とでも言おうか。
これまでになく地球温暖化が叫ばれている中、その問題の視点を南極に向け改めて問いただしたい方にもお薦めの一冊である。
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