以前より著者の南極ルポである「こちら南極ただいまマイナス60度」、「南極ってどんなところ?」を読んでいて、本書の出版を知り、読むのをタイヘン楽しみにしていました。
南極は、まだまだ誰でもが訪れることはできない神秘的なベールに包まれた未知ゾーンです。
そのため、それらを体験しメッセージを語る本は数少なく、ひとつひとつが貴重なルポルタージュであると思います。
ただ、会社やさまざまな関わりを持つ南極関係者、氷上生活をしたメンバーなど、ギョーカイ系にある周りの目線を意識し、気を使いすぎているような遠慮さを感じます。
もっとアグレッシブになって、ぶつかり合いの生々しいことが書けるはずだと思いますが、それを言いたそうで言うことができないもどかしさのままで書き綴っているように思います。
白い極限の閉塞空間をどのように過ごすのか、雪と氷と碧い空の世界をどのように感じ取ったのかを表現仕切れていなかったのではないか、「こちら南極ただいまマイナス60度」ではもっとアツく、ビビッドに、ピュアに感じるものがあったのではないか、ひょっとして南極行きのベテランになってしまったのか。
枝葉のような、身内しか理解できない、さかなクンのメッセージなどよりも、真っ向から著者が見て知って感じたものを多くの読者にもっとダイレクトに伝えて頂ければ、なお一層の読み応えがあったと思います。
報道の中に、感情が入り混じるところが、単なる記者だけではない著者の持ち味があるところです。
極寒の地では限りある時間を寝る間もおしみ、記者の仕事以外に満身創痍で果敢にトライし、やり遂げたことだと思います。
だからこそ、もっとアツくなるメッセージを伝えてほしい。
それが体験してきた著者だからこそできるのです。