最近深夜番組のタイトルに使われたことなどもあって、俄かに注目を集めている南方熊楠。
そんなひそかなブームを当て込んでか、河出の南方熊楠コレクションが限定復活。
先日六本木の青山ブックセンターに特設コーナーが設けられており、思わず購入してしまいました。
この河出「南方熊楠コレクション」は全5巻構成なのですが、
第一巻の「南方マンダラ」と本巻「森の思想」が最も雄弁に熊楠の思想を語っている気がします。
熊楠はその生涯のうちの大きなエネルギーをさいて神社合祀反対運動を展開した事で知られていますが、
その運動の根本にあった思想が本巻収録の「南方二書」と「神社合祀に関する意見」に
凝縮されているからです。
近年とみに「エコロジー」が声高に叫ばれています。
けれど、この言葉を口にする人間の一体何割がその意味を理解しているか、
どうにも心もとない状況です。
熊楠が森とそこにある神社というものに見出したものが何であったか、
それを考えることに真に自然と共生する生活への糸口があるように感じます。
個人的に熊楠の素晴らしいと感じるところは、
西洋科学全盛の時代を生きながら、自然を客体化したモノと捉えることなく、
大きな精神性の中に自らも連なるマンダラ的世界として捉えていたことです。
それは、長く熊野の森で彷徨してきた彼の体験から生まれたものだったに違いありません。
「知っていること」と「感じるていること」はまるで違う。
この現代においても、熊楠はまだ我々の先を歩いている。
改めてその巨大さを感じます。