「不治の精神病に苦しむよりは死ぬ方が楽です」ー1941年5月1日、アメリカ合衆国はインディアナ州インディアナポリスにあった連合キリスト教会伝道団のアパートの一室で、一人の女性宣教師がガス自殺をとげた。女性の名はミニー・ヴォートリン。自殺したとき55才だった。彼女は1912年に中国に渡り、キリスト教の伝道生活にはいった。1919年に南京の女子文理学院の教師となった彼女は、その後20年にわたり女子大学における教育と伝道に自身の生涯をかけたのである。ミニー・ヴォートリンを自殺に追い込んだ精神錯乱の傷害は、日本軍の南京占領がもたらしたものであった。彼女は、占領下の南京で何を目撃し、どのような衝撃を体験したのか? 本書は、ミニー・ヴォートリンとその仲間の宣教師たちがその現場の渦中にいた「南京事件」の記録である。