南京事件を語るとき否定にせよ肯定にせよ、感情的な論議が多く見受けられる。
右にしろ左しろ政治屋が介入して冷静な論議ができていないからと思われる。
その中で否定派の目の敵にされているこの本。
思ったより客観的に書かれているな、というのが正直な感想。
南京事件を語るとき、否定派が根拠とするのは在外国人の報告や写真がでたらめであった、ということかと思う。
他のレビューをみても「南京安全区国際委員会報告書」や「The Rape of Nanking」を引き合いに星一つの方がいる。
事実、読んでみた感想としていわゆるアメリカ側資料が出典のものに関しては、被害件数(1日に1000件の強姦)等に素朴な疑問を抱かざるを得ない。
しかしながら、この本で南京事件のいわゆる「虐殺」と呼ばれる残敵掃蕩の根拠としているのは、「南京戦史資料集」等の日本軍兵士の陣中日記である。
また南京事件が起こる原因として指摘している、
・南京攻略戦は当初予定していなかったこと
・後方支援部隊が脆弱であり、「現地調達」をあてにした進軍だったこと
・「軍紀弛緩」が問題となっていたこと
・兵を取り締まる憲兵が極端に少なかったこと
・南京陥落後、兵を市内に駐屯させたこと
以上の点は出典となっている資料から、史実かと思える。
そしてこれらを考える時、「なにかが起こった」としてもおかしくない状況だということが理解できる。
私自身の経験から言えば、二次大戦に参加した祖父やバイト先の社長の話、父から聞いた帰還兵の話などから、なにもなかったとは思えない。
あまりに星一つが多いのでバランスをとる意味で五つ。