タイトルは「南アフリカの衝撃」となっているが、別段「現代南アフリカ入門」でも
問題のなさそうな内容。
とはいうものの、著者が長年南アフリカで生活している事と、政治や文化そのものを
学術的な専門としていないためか、自身の経験に基づいたルポルタージュのような部分が
内容のかなりを占める。
とはいってもルポルタージュそのものではなく、南アフリカが形成されていく基本的な
歴史の流れをおいつつ、同時に著者の専門の経済分野についての知識も盛り込まれており、
特に近い時代については経済を主軸に洞察するスタイルをとっている。
そういったところが、面白く読めた理由だろうか。入門書というのは、得てして箇条書き
のようになってしまいがちだが、サッカーのワールドカップの事から話を始めると、読み手
の第一印象は全く変ってくる。
要するにつかみがうまく、だれがちな部分を著者の体験談へと脱線させる事で、ー意図的な
ものではないのかもしれないがー読んでいて飽きにくい仕組みになっている。
それにしても、南アフリカのみならず南部アフリカの歴史のやるせなさはなんとも
言いがたい。
これを読んだ後に、ディカプリオ主演の「ブラッドダイヤモンド」など、アフリカが舞台の
映画を見ると、最初とは違った視点で鑑賞できそうだ。