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病気で人生を見つめ直す機会を得た著者がなぜか南の島へと飛び、そこで暮らす
人たちへの取材を重ねつつも、かつて太平洋戦争が南太平洋で繰り広げられた時
代の面影に心を動かされ、自分の人生について考える・・・そう、本書の主役は
「南の島に暮らす日本人たち」ではなく、著者本人なのだ。
そのような著者に共感した人は、本書を高く評価するだろうが、逆に、南の島で
の暮らしがもっとストレートに紹介された本を探していた人には、やや「くさ
い」著者の感情表現に少々辟易するのではないだろうか。そういう読者には本書
よりもいしいきよこ氏の書などをお勧めする。
海外で暮らす人を訪ねる内容でしたが、主役は常に筆者で、旅行途中に出会う人々と少し話しをして、筆者の思いが書いてある・・・という感じにしか受け取れず、期待はずれでした。
本書は、あまり体験することのない、南洋の島で暮らす、または
暮らすことになった日本人の様々な人生模様と、各地に残る
太平洋戦争の傷跡、戦争が残したもの、影を克明にジャーナルし、
著者自らの生き方の、その価値を問う内容となっています。
特に最後のヤップ島で出会ったバス会社社長と奥様、その島で
生活するにいたった経緯、そして、戦争が、平和な南洋に落とした
光と影・・さまざまなものが入り交じって、著者がその地で感銘を
受け、神の啓示にも似たものを感じたのと同様な感覚が、
読者の胸にせまります。
数ある井形さんの著作の中では、ワタシ個人的には、上位にランク
できる、優れた紀行エッセイです。
単に旅行記でないところがみそで、いろんな島で暮らす、様々な
事情をもった日本人、そして、彼らの生き方に触発されて、
日本、都会、現代に生きる日本人の生活を再考すると同時に、
著者自らが生きてきた道程、さらに、残りの人生をイメージする
際をも考えさせられる、という内容です。
読者は、その上に、自分の生き方、価値観、さらに南洋のイメージを
重ねあわせることによって、著者の魂の体験、一期一会を、自分の旅と
してビジョンすることができます。
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