四篇の短編集であるが、それぞれのテーマは、いみじくも統一感がある。
共通しているのは、人の死を前向きに乗り越えるという事と、
著者が後書きで述べている「許す、許される」という構造となっている点だ。
それぞれの短編が扱う死は、決して感傷を誘う材料ではない。
むしろ、周囲がそれを乗り越えるという姿勢をみつめる、著者の温かい眼が、感傷を誘う。
表題作の緻密さも素晴らしいが、私は「まゆみのマーチ」に、特に感銘を受けた。
もうすぐ死を迎える母の、我が子に対するかつての態度は、温かさに満ちている。
現代進行中の様々な人生の一端を見る思いだ。
四篇すべての作品の水準は高い。
単に温かさに満ちているというだけではなく、
一定のテーマを鋭く描ききっている、読み応えのある作品集となっている。
短編と言っても、それぞれが文庫100ページ近くあり、
どっぷりと浸る事が出来る。