ユーミンの楽曲は、私小説のような歌詞・豊潤なハーモニーと感性豊かなメロディ・独特の声の三位一体が創りだす世界だからこそ愛されていると思います。
それゆえ、ユーミンのメロディとハーモニーを拝借したとしても、相当な演奏者、卓越した編曲でないと原曲を超えることは難しいと考えています。
フルーティストの高木綾子さんは、1999年10月の収録当時は東京芸術大学4回生でした。リーフレットの最後のページに書かれている過去のコンクール優勝歴同様、安定した演奏を聴かせてくれます。ポップスとクラシックとは伝えるべき感性が異なるように思いますが、抒情的な曲とフルートの相性はいいですね。音色も豊かですが、フレージングに感受性の素晴らしさを感じました。
丸山和範氏のアレンジはオーソドックスで気をてらうことなく、ユーミンの魅力を上手くフルート独奏の曲として再提示してくれました。ホテルのラウンジにかかっているようなBGMのように聞こえているのでは、と一抹の不安を隠せないまま聞き出しましたが、癒し系の演奏で良かったと思います。
奏でられる音楽の質の高さを随所で感じ、上品な香りが漂うCDだと言えるでしょう。購入するのはユーミンファンが多いと思われますので、原曲のイメージを壊さない丸山氏のアレンジは好感をもって受け止められるでしょうから。
クラシック、ボサノヴァ、ジャズと曲によって少しずつアレンジの雰囲気を変えているのも効を奏しています。よく歌うフルートですが、飽きない工夫は大切ですから。
なお、リーフレットには彼女のポートレートが満載でした。ただしモノクロです。