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最も参考になったカスタマーレビュー
9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
繊細に響く関西弁が、…,
By 甲山筆夫 (神奈川県小田原市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 卍 (新潮文庫) (文庫)
ストーリーは、同性愛を導入口とし、晩年に孤独となってしまった悲しい女性の語りである。良家の生まれ・インテリジェンス・恵まれた家族環境にありがら、悪女:光子の虜となってしまう。その果て、光子の影にいる怪しい男と亭主との、まさに雁字搦めの卍となる。自身が開放された時には、亭主も光子も失っていた。その後ずっと女一人で、園子は生きて来たのでしょう。物悲しくともやたらに口に出来る話ではない。このお話を同姓愛文学と捉えるのが一般であるが、谷崎先生はそこを意図したとは思えない。むしろ、女の語り得ない悲しい一生の一形態を描かんとしたと感じます。また、繊細に響く関西弁が、ストーリーをいっそデリケートに仕立てる役割を果たしたとも記します。
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
視点を変えれば変わってくる人間模様,
レビュー対象商品: 卍(まんじ) (中公文庫) (文庫)
『痴人の愛』のレビューを読んでいても「実はナオミのほうが被害者」だということを書いてらっしゃる方がおられたが、こちらの作品もそれと同じで客観的にみれば「実は、光子と(園子の)亭主が被害者」。主人公の主観から語ることで、ずいぶんと受け取りかたが変わるように意図的に仕組まれていると感じるが、そこにまんまと読み手は騙される(主人公に肩入れしてしまう。主人公をつい同情してしまう)。 そこに人間臭さも感じるし、そういう部分を意図的にワザと描いていくあたりが谷崎潤一郎作品の素敵な部分であると思う。 そもそも光子という女性は本当に小悪魔だったのか? 園子は「光子に振り回された」と言うが、見落としてはいけない部分は園子は中年既婚者で、光子は若い独身女性。 園子を男性だと仮定するとハッキリ見えてくると思うが、例えば浮気する男性が女性を口説く場合「お見合い結婚だし、妻とは完全に冷えきってるし、性関係もないし、お前だけだ」と言えば「何て身勝手な男なのか?」と誰もが思うことだろう。 旦那もいる園子(ポリガミー)を少し困らせたいと思う光子(モノガミー)が小悪魔だとは私は全く思わないし、むしろ種無しで執念ストーカー男と同盟を結んで2人で光子をシェアしようとする(まさにポリガミー的発想の)園子にこそ、この上ない残忍性を感じるくらいだ。 それでも園子を好きだという光子が、園子に振り回されてヘトヘトになった真面目な亭主と同居生活の中で共感しあうのも無理はない話。 ただ性別を変えるだけで世間的に変わる見方と、その滑稽さをうまく描いているから、この作品はとても面白いと思う。
24 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
イライラの裏に潜むエクスタシー。,
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レビュー対象商品: 卍 (新潮文庫) (文庫)
初めてこの本を読んだ時のことはよ~く覚えている。とにもかくにもムズ痒いような、コーヒーを飲み過ぎたような落ち着かなさで終始イライラしてしまった。途中何度も「ダメだよそんなことしちゃ!!」と怒鳴りたくなったし、握り締めた本の両端をそのまま引き裂いてやろうか?と思ったこともしばしばだった。そして読み終えて数ヶ月、「解るんだけどねぇ、俺には合わないなぁ」そう思った。しかしそれからまた年月が経ち、その間にも他の本を読み漁っていると、次第に内臓にできたデキモノのようにその本の表紙が目に入り、眺めると何か悟りきれていない物を感じる。そう、自分の中で禁欲している願望を認める時、この本は初めてその魅力を発し出すのである。 優れた文豪の名作というのは、大概が辛気臭くて、陰険で、鬱病患者手記のような物だが、どうせグジグジするなら、このぐらいとことんグジグジしていいはずだ。カッコいい人間は大概サッパリしているが、サッパリの手前の本来一々人に披露しない思考展開のグジグジ感こそ、人間解析の絶好の資料だと思われる。 という意味で、法や常識を精神的にだけ超越してしまう瞬間の人間の内面という物を写実的に、実に写実的に描いた、一種精神分析レポートととらえて差し支えないだろう。そしてそういう目で観てみると、なるほどいろんなことが見えてくるはずです。これは最強の教育本の一つです。
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5つ星のうち 5.0
耽美
意外な展開を繰り広げる日本屈指の同性愛の文学。 今、巷に溢れかえっている同性愛小説とは、全くの別物です。... 続きを読む
投稿日: 2006/8/14 投稿者: 蝦蟇の油
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