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卍(まんじ) (中公文庫)
 
 

卍(まんじ) (中公文庫) [文庫]

谷崎 潤一郎
5つ星のうち 3.8  レビューをすべて見る (19件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

光子という美の奴隷となった柿内夫妻は、卍のように絡みあいながら破滅に向かう。官能的な愛のなかに心理的マゾヒズムを描いた傑作。〈解説〉千葉俊二

内容(「BOOK」データベースより)

光子という妖しい美の奴隷となった柿内夫妻は、互いにまんじ巴のように絡みあいながら破滅につきすすむ。官能的な愛の中に心理的マゾヒズムを描いた傑作。晩年の谷崎と、若尾文子・岸田今日子による座談会(昭和三十九年収録)を付す。

登録情報

  • 文庫: 237ページ
  • 出版社: 中央公論新社; 改版 (2006/10/25)
  • ISBN-10: 4122047668
  • ISBN-13: 978-4122047662
  • 発売日: 2006/10/25
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.8  レビューをすべて見る (19件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 678,910位 (本のベストセラーを見る)
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9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
 ストーリーは、同性愛を導入口とし、晩年に孤独となってしまった悲しい女性の語りである。良家の生まれ・インテリジェンス・恵まれた家族環境にありがら、悪女:光子の虜となってしまう。その果て、光子の影にいる怪しい男と亭主との、まさに雁字搦めの卍となる。自身が開放された時には、亭主も光子も失っていた。その後ずっと女一人で、園子は生きて来たのでしょう。物悲しくともやたらに口に出来る話ではない。
 このお話を同姓愛文学と捉えるのが一般であるが、谷崎先生はそこを意図したとは思えない。むしろ、女の語り得ない悲しい一生の一形態を描かんとしたと感じます。また、繊細に響く関西弁が、ストーリーをいっそデリケートに仕立てる役割を果たしたとも記します。
このレビューは参考になりましたか?
24 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
初めてこの本を読んだ時のことはよ~く覚えている。とにもかくにもムズ痒いような、コーヒーを飲み過ぎたような落ち着かなさで終始イライラしてしまった。途中何度も「ダメだよそんなことしちゃ!!」と怒鳴りたくなったし、握り締めた本の両端をそのまま引き裂いてやろうか?と思ったこともしばしばだった。そして読み終えて数ヶ月、「解るんだけどねぇ、俺には合わないなぁ」そう思った。

しかしそれからまた年月が経ち、その間にも他の本を読み漁っていると、次第に内臓にできたデキモノのようにその本の表紙が目に入り、眺めると何か悟りきれていない物を感じる。そう、自分の中で禁欲している願望を認める時、この本は初めてその魅力を発し出すのである。

優れた文豪の名作というのは、大概が辛気臭くて、陰険で、鬱病患者手記のような物だが、どうせグジグジするなら、このぐらいとことんグジグジしていいはずだ。カッコいい人間は大概サッパリしているが、サッパリの手前の本来一々人に披露しない思考展開のグジグジ感こそ、人間解析の絶好の資料だと思われる。

という意味で、法や常識を精神的にだけ超越してしまう瞬間の人間の内面という物を写実的に、実に写実的に描いた、一種精神分析レポートととらえて差し支えないだろう。そしてそういう目で観てみると、なるほどいろんなことが見えてくるはずです。これは最強の教育本の一つです。

このレビューは参考になりましたか?
By トキ
形式:文庫
『痴人の愛』の譲治や『春琴抄』の佐助から、タイプの違う『蓼食う虫』の要や高夏まで、
谷崎作品に登場する男性像に非常に魅力的に感じている一読者です。
『卍』は女性である園子が主人公ですが、視点が女性に変わるとこうなるのかと気分が悪くなるほど、打算で動く女像がてんこもりでした。
その場凌ぎの嘘。自己保身。揚句の果に泣き落とし。
男の膝に縋りつき男を仰ぎ見るような女ではない。この辺りは好悪とは別に、やはり現代的だなあと思いました。

綿貫が登場したあたりから光子・園子・綿貫・園子の夫、の思惑が入り乱れるうえ
誰もかれもが『どこまで手管か、どこまで本気かわからない』そんな疑心暗鬼になっていくので、
大阪弁の語り口調とともに頭がややこんがらがりました。
私は関東在住ですが、『卍』の中の大阪弁はフワッというよりもカラッとして感じました。

『綺麗な女が男に愛されるのは当然。同性に好かれると、自分がそこまで綺麗なのかと嬉しくてたまらない』
『あの人は自分が相手をどれほど好きか、という弱点を隠して、自分に惹きつけようと仕向けたがる』

など、いつもの如くはっとする台詞・心裡描写があり、こんがらがりつつも読んでいて退屈しません。
ラストは展開が早くて、しかも意表を衝かれるもので、面喰いはしましたが面白かったです。

ただ他の谷崎作品と相対化して『痴人の愛』や『春琴抄』が☆5なら、レビュー冒頭の好みの問題で☆4つ、です。
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