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しかしそれからまた年月が経ち、その間にも他の本を読み漁っていると、次第に内臓にできたデキモノのようにその本の表紙が目に入り、眺めると何か悟りきれていない物を感じる。そう、自分の中で禁欲している願望を認める時、この本は初めてその魅力を発し出すのである。
優れた文豪の名作というのは、大概が辛気臭くて、陰険で、鬱病患者手記のような物だが、どうせグジグジするなら、このぐらいとことんグジグジしていいはずだ。カッコいい人間は大概サッパリしているが、サッパリの手前の本来一々人に披露しない思考展開のグジグジ感こそ、人間解析の絶好の資料だと思われる。
という意味で、法や常識を精神的にだけ超越してしまう瞬間の人間の内面という物を写実的に、実に写実的に描いた、一種精神分析レポートととらえて差し支えないだろう。そしてそういう目で観てみると、なるほどいろんなことが見えてくるはずです。これは最強の教育本の一つです。
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