この作品の良さは話の筋などではなく、いつ襲ってくるかわからない、しかし、確実に遠からずやってくる死を待つ女の子に恋をする少年の心理描写にあると思います。設定に無理があるかどうかはともかく、もし、このような恋をしたら何を感じ、何を思うのか。作者はそれをとても丁寧に描きだしています。
様々な人との関わりの中で、迷える少年が唯一確かな気持ち。たとえ、喪失が待っていたとしても、今は彼女と共にいたい。死がやってくるその日まで彼女に笑っていてほしい。そこにたどりつく過程が細かく描写されています。
シチュエーションで話を引っぱるのではなく、主人公の心を描きだすことで読者をひきこむ珠玉の恋愛小説だと思うので、ぜひ多くの人に読んでほしいです。