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千羽鶴 (新潮文庫)
 
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千羽鶴 (新潮文庫) [文庫]

川端 康成
5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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登録情報

  • 文庫: 292ページ
  • 出版社: 新潮社 (1989/11)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4101001235
  • ISBN-13: 978-4101001234
  • 発売日: 1989/11
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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欲情する名作 2008/7/13
形式:文庫
欲情した。エロ小説でないもので欲情したのは源氏物語のマンガ「あさきゆめみし」があったが、「千羽鶴」も負けずに欲情させてくれた。
ストーリーもおもしろい。川端の男女のあり方って現代の節操とは違っているんだろう。源氏物語に通じているところがあるようだ。「千羽鶴」においてもまたしても無節操な、あまりに不倫理な、そして奔放すぎる男女の濡れ場が散りばめられているが、具体的な描写は皆無である。普通の会話のやり取りで読者を欲情させるとは、その文章テクニックがスゴイ!
父は友人の未亡人と関係を結び、息子の菊冶がその未亡人を引き継ぐとは! ちょっと足りないと思われたこの未亡人母娘が、物語の終末に近づくにしたがって意外なほど存在感を増し、未亡人はついに「名品」と評価され、「差し上げるものは一流品でないと」といって未亡人よりいただいた二流半の茶碗を娘文子が菊治のお宅を訪問して割ってしまい、そして自らを絶対の存在に位置づけてしまうのだ。お茶の師匠であるちか子(これも父の愛人となっていた)のような厚かましい毒婦とはまるで違って、遠慮深く、駆け引きもなく、引っ込み思案のはずだった存在がである!。
これは源氏物語の宇治十帖の主人公級の浮舟を髣髴とさせるではないか!
「雪国」「山の音」にもあったが本編でも重複する説明箇所が見られたのは、短編を少しずつ繋いでいく書き方に由来するところがあったようだ。それが気になるといえば気になるが些細だ。
「山の音」「千羽鶴」を「雪国」の延長と定説のようにいわれているがそのわけは分からない。駒子、菊子、文子はそれぞれ芸者、嫁、父の愛人の娘である。この三人に共通するものは女であるということだけなのだ。むしろ島村、信吾、菊冶に共通しているところがあるのだろうか、これもありそうにないのだが・・・。
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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ringmoo トップ500レビュアー
形式:文庫
高校時代に読んで以来なのですが、いかにその時読み方が浅かったかを痛感しました。

この小説を日本的な「和」の美の中で書かれた背徳小説と言ってしまえば身も蓋もない話で、そこに「源氏物語」を読み込んでいるとしても、まだこの「千羽鶴」を解き明かすことにはならないのでしょう。

この小説においては、主人公は表面的には菊治のように見えます。しかし、読み終えてみるとどうもそうではない気がしてきます。菊治はあくまで狂言回しであり、真の主人公は太田夫人でしょう。彼女は途中で死んでしまいますが、死してもなおその影響力を残します。

この「死しても」と言うところにこそ、作者の書かんとした意図があるように思います。
死者は「死」によって自由を得ます。実際、太田夫人はその自殺によって、過去から解放され、苦しみから逃れられます。
ところが、残された方はどうでしょうか?
その娘文子、そして親子二代に渡って関係を持った菊治。この二人は、逆に太田夫人の「死」に囚われてしまったように思います。彼らは、その夫人の「死」と言う網に雁字搦めになり不自由になり、その苦悩を別の意味で引き継ぎます。
だからこそ、文子は志野を割らざるを得なかったのでしょう。
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徹底した美 2007/12/19
By ヤキソバ 殿堂入りレビュアー トップ100レビュアー
形式:文庫
著者は、どの作品においても、たゆまない美の追求を怠らない。
この徹底した姿勢は、三島や谷崎らと、ある意味、通ずるところがある。

「みずうみ」や「眠れる美女」といった、少し異端とされる作品も、すばらしい「美」である。
そういう観点から本書を読むと、本書には、著者の追求する美が濃縮されている、と感じる。

すなわち、背徳の美、芸術の美、生(あえて死という言葉は使わない)の美などである。
背徳の美に関しては、著者の表現の前には、背徳という言葉すら、霞んでしまう。
菊治と太田婦人の交わりは、文学的表現の一種の境地ですらある。
それらは名器の芸術的美と、絶妙な絡みを見せる。

一方、リアリズムの一端も盛り込まれる。
つまり、生に対する絶対的な美である。

この作品の結末は、ある程度想像は出来るが、明確には示されていない。
本文庫は、続編である「波千鳥」も収録されている。

私の主観であるが、「古都」と「舞姫」のエッセンスを融合すると、本作品になるのではないか、という気がする。
著者の作品群のうち、第一級の作品である事は確かだ。
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