私は『千日の瑠璃〈下〉』のレビューだ。
読解力も表現力も乏しい一読者が綴る、上巻を読了済みの者にとっては改めて言わずもがなの蛇足文章であるところの、『千日の瑠璃〈下〉』のレビューだ。本作品は、途中で視点のネタ切れになるのではないかというお節介な心配を鎧袖一触のもとに撥ね退け、みごとに丸山文学の一つの到達点を示す記念碑的作品となった。
作者の丸山健二は、日本を代表する大文豪であるにもかかわらず、必ずしも読者は多いとは言えず、知名度も異様に低い。本作品は千の視点という極端な内容故に賛否両論を招いた。大部分が地の文でほとんど台詞が無く、文章自体が硬質で難解な漢字熟語なども多いのではあるが、読みやすさは損なわれていない。
上巻では比較的ゆったりとまほろ町の情景が描かれていたが、下巻に至ってリゾート開発の顛末が描かれる。鴎とか巨鯉などといった人間以外のキャラについても結末までしっかりと描かれている。
物語の展開がかなりファンタジーであったり、事象がデフォルメ化されていてシンプルすぎる、権力を持つ体勢を批判し平々凡々であることに甘んじる一般人をこきおろすスタンス、ページ毎の構成がワンパターン、などなどの批判もあるだろうが、森羅万象を描ききった大作であるという評価は揺るぎなきものだろう。
物語を通じて語られた主人公の少年世一とオオルリにも決着がある。刮目して見よ。私は★5を残して下巻のページを閉じ、風のようにまほろ町を去る。