岡崎氏を、児童書の棚で見かけることはあったが、
では「独学魔法ノート」や「バンビーノ」が果たして児童書であったか。
ともかく、彼の優れた感覚を高く評価する出版社があることがうれしい。
本書は、異論は多いだろうが、
事実上初めて児童書というジャンルに彼が正面から取り組んだ作品であろうと思う。
子どもたちに、話のプロットの面白さ、豊かさをたくさん伝えたい、
そういう思いが、彼自身にあったのか、理論社の思いに彼が応えようとして生まれたのか、そこはともかくも。
実際、作品は、決して二転三転の面白さを見せるものではなく、
どの話も、世の常が少しバランスを崩し、幸あるいは不幸により再び均衡を取り戻すもの。
たとえどんなことが起こって、その向かう方向は望み通りになろうがなるまいが、
必ず着地点はあるし、それは辻褄の合う結末だと教えてくれる。
にしても、どれもいい話だ。
特に、「死んだ友だち」と、「キが大蛇を退治」の話は、
数ある中国の説話ものとは異なる、アツイ感じが伝わり、この本をより魅力的にしている。
イラストもとてもいいです。