素晴らしい短編集です。これが処女作とは思えない完成度の作品です。
内容は、現代中国を舞台にした十人の主人公たちの人生の一片を切り取ったものです。しかし、その一片は、主人公の人生全体を見事に写し取った内容になっています。
十編のどの作品をとっても素晴らしいのですが、個人的には、冒頭の「あまりもの」と「市場の約束」が気に入りました。
「あまりもの」は、縁づくこともなく年老いた林ばあさんの話で、私立学校の雑役婦をしていて、その生徒に初めて淡い恋心を抱くという作品です。
「市場の約束」は、アメリカに恋人を留学させるために偽装結婚をさせてやり、いつまでも一人でいる三三の話です。恋人が離婚して帰ってきて、縁談がわきあがるのですが、三三は頑なに断ります。自分の決め事をしっかり守ること、それが「人生の約束」で、同じ考えの相手をついに見つけるところで終わります。
十編が十編とも明るい物語ではありません。でも、最後の一言で救われる、そんな物語の連続です。そんな短編集です。