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淀殿母子が万が一「分を弁えて」家康の前に卑辞屈身したからといって、いつ反幕勢力の牙城となるかも知れない豊臣家の存続を、かの老獪な家康が許したなぞという見方は、あまりにも甘きに過ぎるというものでありましょう。事実その後の歴史を見れば一目瞭然、如何に徳川方に味方しようと、豊臣恩顧の大名たちは次々に口実を設けては取り潰しの憂き目をみているし、将軍家内部でも殺し合いを演じているのですから。とうてい豊臣家が生き延び得る余地があったとは思われません。 徳川三百年の支配の間に「淀殿悪女説」が浸透し、本書も秀頼を「秀吉の実子ではなかったとする説」をとってはいるものの、かの太閤が自らの胤か否かの区別もつかぬほど愚昧な人であったとは、なかなか考え辛いのではないでしょうか。 ともあれ歴史小説として娯しむだけなら、結構面白い作品ですよ。
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