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美味しい料理と天然の泉質の余韻に浸る両親を寝かしつけた後、何気なく点けた深夜のTBSニュースから流れてきたのが、誰あろう新井満さん本人の「千の風になって」でした。温和な人柄を感じさせるその丁寧な歌唱と相俟って、その余りにも痛切なメッセージはほろ酔い加減の私の胸に容易に入り込み、次第に涙が溢れてきました。傍らで眠る老いた両親に近い将来訪れるであろう死の影を思い、半年前に逝ってしまった愛猫の面影を思いながら、生と死について厳粛に、思いを巡らした次第です。
何れは両親を看取り、やがて私自身も老いさらばえて死んで行きます。その時に私の死を真正面から受け止め、風となった私を偲んでくれる人たちはどれだけ存在してくれるだろう?20世紀初頭に活躍した女流画家、マリー・ローランサンは自作詩「鎮静剤」で、「もっとも哀れなのは忘れられること」と言い切りました。他者との関わりの中で自己が生かされているという、ややもすると忘れがちな人生の摂理を噛み締めながら、これからも日々過ごしていきたい、そう思わせてくれる「千の風になって」。その詩は元より新井満さんの生み出したメロディーと共に、できるだけ沢山の方々に浸透されることを願ってやみません。
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