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十牛図―自己の現象学 (ちくま学芸文庫)
 
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十牛図―自己の現象学 (ちくま学芸文庫) [文庫]

上田 閑照 , 柳田 聖山
5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

とめどもなく存在感が稀薄化していく現代世界にあって、われわれの真の自己はどこに求められるのか。文明を築き上げた人類の英知はどこへ向かうのか。失われた牛を探し求める牧童の道行きを描く十枚の円相に禅の追究するさまざまな課題を内包させた古典「十牛図」を手引きにして、自己と他、自然と人間、自己自身への関わりについて考察し、現代人の「真の自己」への道を探る。テキストの現代語訳と詳注を併録。

登録情報

  • 文庫: 317ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (1992/11)
  • ISBN-10: 4480080244
  • ISBN-13: 978-4480080240
  • 発売日: 1992/11
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.4 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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形式:文庫
 上田氏執筆の『自己の現象学――十牛図を手引きとして』は、自己という「現象」を解釈するにあたって、十牛図をあくまで手引きとして論考したものである。
 現象学的方法論を自己という現象に適用して解明するだけでは、はなはだ抽象すぎて訳のわからないものになってしまうところ、十牛図を援用することで具体的に自己の本質へと踏み込むことができるというところがミソになっている。したがって自己のアプリオリな論理的形式性の追究であって、我執や煩悩の解明はまた別次元の問題である。

 自己の頽落的な在り方から真の自己を発見するその理路を十牛図の修行の歩みに引き寄せて解釈するのだが、自己というあまりに身近に在りすぎて、というか自己を思惟するのもまた自己であるというパラドクスを抱えている存在は、ありふれているからこそ捉えること、言葉にすることが難しいが、言わんとしていることは至って単純、明解である。ハイデガーのあの執拗な、存在への思考のように。

 マイスター・エックハルトの神と禅との一致点を見出しつつ、すれ違うあたりの面白さ。ブーバーの我と汝のキリスト教的限界。ニーチェの「神は死んだ」も、仏教的ニヒリズムに近いが、絶対肯定には行かない。その他アンゲールス・ジレジウスの詩の解釈や多大な影響を受けているだろう西田幾多郎への言及など、示唆に富んだ思考の深みに、ついつい評者は嵌まってしまった。
 ジレジウスの「薔薇は咲くがゆえに咲く」と禅に言う「花は自ら紅」との対比解釈がされていて、前者は神と人間の「思議」がすで前提されているが、後者では絶対的無(空相、己の存在すら無にしたところ)から出てきた(現成してきた)ものだとなる。西欧のキリスト教を背景とした思考の枠組みでは仏教的、禅的「自然」の「おのずから」や「みずから」というもののあり方に達することができないわけである。
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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
十牛図について非常に詳しくかつ面白い内容になっています。
内容もわかりやすく書いてあり、漢文の部分とそれに対する訳があります。
ページ数も少ないほうですし、一気に読み切りました。
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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
副題に「自己の現象学」とある。本書『十牛図』は、禅のテクスト「十牛図」を通して、「真の自己」を探求しよう、というはなしである。

「十牛図」とは漫画のような十コマ一連の図ある。それぞれの図にリリックな漢文が付されている。

「第一尋牛」:人が牛を探すのである。つまり「自己とは何か」という問いである。
「第二見跡」:人が牛の痕跡を見るのである。
「第三見牛」:人が牛を見つけるのである。
「第四得牛」:人が牛をつかまえるのである。
「第五牧牛」:人が牛を飼いならすのである。
「第六騎牛帰家」:人が牛に乗って家に帰るのである。
「第七忘牛存人」:人は存在する。しかし牛を忘れる。
「第八人牛倶忘」:人と牛、倶に忘れる→円空。

ここから難しくなる。

「第九返本還源」:「もとにかえる」→川。花木。自然。
「第十入※垂手」:※(=街)に入る。そして他者に手を差し伸べる。

である。「人」と「牛」は何のメタファーか。「自己」が「真の自己」を求めてゆく自覚的現成を十の境地で描いた禅の哲理「十牛図」を、西洋の宗教哲学を交えながら説き解した名著である。

著者の上田閑照はエックハルト研究の第一人者であり、東西の神秘思想についての数多くの素晴らしい論考を残されている日本を代表する宗教思想家である。柳田聖山は言わずと知れた禅仏教研究の泰斗である。

本書前半は「禅の十牛図を手引」として上田氏が著された「自己の現象学」と題される小論である。

本書後半は柳田氏による「往鼎洲梁山廓和尚十牛図」及びその「改題」である。

自己が真の自己を求める様、そして他者に赴く自己のあり方が、じつに美しく示されている。

※は難しい字。表示すると文字化けするので※とした。
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