この作品を観ていてつくづく思うのは、その時代時代に於いて、手を抜かずに作られた作品は、時代が移っても価値が褪せないということ。
サイレント版『十誡』の古代編のエジプト脱出の群集シーンのエキストラの数では『十戒』の方に分がある。
しかし砂漠を往く群集の情景描写ではサイレント版の勝ち。
同様にエジプト門前に集合した戦車の数でもサイレント版の勝ち。
同様に砂漠疾走の戦車群の迫力は圧倒的にサイレント版の勝ち。
若きC・B・デミル監督のエネルギッシュな演出の賜物。
紅海の特殊効果はどちらも現代のCGには全くない「味」があって宜しい。
好みで言えばサイレント版の方が興味深い。
紅海が割れる瞬間、閉じる瞬間、割れた時の描写等何回見ても、見飽きることが無い実に不思議な映像である。
何故こういう表現が当時可能だったのかは、映画史の「謎」にしておこう。
一方『十戒』は役者の絢爛豪華さに尽きる。
回り舞台のように登場する役者のスペクタクル!こんな映画滅多にありません。
しかも意外に恋愛映画として観ても十分楽しめます。
それにしても女の嫉妬は怖い!
『十誡』は制作費180万ドル。『十戒』は1350万ドルといわれている。
『十戒』の特撮ではシナイ山での火の柱が秀逸。
楕円軌道を描いて岩に炎の矢先が突き刺さる場面のユニークな着想は白眉。
モーゼもびっくり!
サイレント版『十誡』の現代編もお見逃し無く。
モーゼの妻役のイヴォンヌ・デ・カルロ、デブラ・パジェット等の女優陣も超豪華!