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十字軍物語2
 
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十字軍物語2 [単行本]

塩野七生
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (11件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

十字軍国家の希望を一身に集める若き癩王と、ジハードを唱えるイスラムの英雄サラディン。その全面対決の行方は――。聖地を巡る男たちの胸打つ物語。

内容(「BOOK」データベースより)

第一次十字軍の奮闘により、聖地イェルサレムに打ち立てられた十字軍国家。だが、イスラム側に次々と現れる有能なリーダーたちによる猛反撃を前に、防衛の側に回ったキリスト教勢力は、苦境に立たされることになった。ヨーロッパから神聖ローマ帝国皇帝とフランス王が参戦した第二次十字軍は古都ダマスカスを攻めるも、なす術なく敗走。孤立した十字軍国家を束ねる若き癩王は、テンプル騎士団と聖ヨハネ騎士団の力を借りながら総力を結集し、ジハードを唱えるイスラムの英雄サラディンとの全面対決を迎えることになった―。

登録情報

  • 単行本: 289ページ
  • 出版社: 新潮社 (2011/3/24)
  • ISBN-10: 4103096349
  • ISBN-13: 978-4103096344
  • 発売日: 2011/3/24
  • 商品の寸法: 20.2 x 15.6 x 2.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (11件のカスタマーレビュー)
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21 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 相楽
形式:単行本
●十字軍側。

十字軍の側では主に、第二次十字軍の無残な失敗と、それにより兵力は常時不足し、人材も枯渇し最高指揮官にも下士官にも恵まれない中、ヨーロッパからの増援不在の約四十年に渡り、十字軍国家が存続し得た理由を検討している。

その方面では主に防衛向きの常備軍としてのテンプル騎士団、聖ヨハネ騎士団(病院騎士団)の存在の重さとそれぞれの性格の違い、彼らを中心とした優れた多数の城塞による防衛戦略、イタリア海運都市国家群による経済と海軍力のサポートの意義を描いている。

●イスラム側。

イスラム側からはどうしても団結できなかった彼らがゼンギ、ヌラディン、そしてサラディンという英雄の出現を経て一体となっていく様を描く。
彼らの足跡を追うことがそのまま、第一次十字軍に十字軍国家建設を許したイスラム側の不備の再確認にもなっている。

●美点。

こうした全体の構図の描き方、それを導きだす論理と理由の提示はいつもながらとても面白い。
サラディンが城塞や海軍力や経済浸透といった障壁をどう無力化したかの描写もいい。

●いつもながらのアレ。

ただ、強烈に好みを押し出し過ぎるやり口の極端さはいつも通り。
病院騎士団大好き、テンプル嫌い。ビザンチン大嫌い。
若き癩病の王ボードワン四世激萌え、サラディン痺れる憧れる(これは仕方ないか)。

いつもの事ながら、司馬遼太郎の如く歴史エンタメ小説として読まれるべきもの。
ただ、司馬遼太郎の幕末明治及び戦国もの等には同じくエンタメの裏表セットとして山田風太郎がいて、併せ読むことで謎のバランスが取れるものと思えるけど、塩野七生にはそれに相当する相手がいないので色々厳しい。
それもまた、いつも思わされる事だ。

●なんだか心配。

あと、「大切なことなので二度言いました」な重複記載の異様な多さは一体なんなのだろう。 分かりやすいのはいいが、さすがに目立ちすぎて気になる。
作者というより編集の問題なのかも。 なんだかひどく危うい。
このレビューは参考になりましたか?
12 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ともぱぱ 殿堂入りレビュアー トップ50レビュアー VINE™ メンバー
形式:単行本
十字軍は西洋史の1コマとして捉えておしまいになりがちだが、舞台が中東であるだけに、中東史でもある。第一次十十軍の最後のリーダーの退場からイスラム教徒によるイェルサレム奪回までの約70年を扱う本巻では、最終的にサラディンの下に結束するイスラム側の太い歴史が描かれる。

同時に十字軍国家側の事情も忘れない。何故慢性的な兵力不足に悩む十字軍国家が命脈を保ったか、その理由の分析は説得力がある。同時に十字軍国家の歴史を記す筆致は、必死にリーダーの責任を果たした者、イスラム教徒とも交流を持った真の国際人には優しく、器でないものがリーダーとなった時の悲劇、狂信の徒は突き放す。

本巻全体を通じて中世文化の華、騎士道への言及があるが、その精髄が発揮されたのがクライマックスのサラディンとバリアーノ・イベリンの交渉だ。ここでの両者の態度には感銘を受けた。

キリスト教徒側・イスラム教徒側に公平に光をあてる著者のバランス感覚が冴えるとともに、宗派を超えて人の心が共鳴する姿に、著者は今日の宗教紛争を説く鍵を見出しているのだろう。
このレビューは参考になりましたか?
8 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ib_pata VINE™ メンバー
形式:単行本
 コケの一念みたいな愚挙によって誕生した十字軍国家ですが、それを見事に跳ね返す反作用としてのサラディンが登場するためには、やはりイスラム世界の必然的な長い政治史の流れというのがあったんだな、というのが垣間見れたな、と。一般教養で習う程度の歴史では、サラディンはいきなり出てきたイスラムの救世主というイメージなんですが、サラディンが登場するまでにはイスラムの社会でも、ゼンギ、ヌラディンという《有能で強力なリーダーが排出》しなければならなかったのです(p.149)。

 特にドイツ皇帝コンラッド、フランス王ルイ七世というヨーロッパの二大巨頭が率いる第二次十字軍を、自軍を進撃させるだけで崩壊させたヌラディンの存在というのは、すごいな、と思いました。塩野さんによれば、ヌラディンはダマスカスに教育、医療のインフラを整備し、大地震後の復興をも指揮した理想的な封建君主として描かれています(まるで司馬遼太郎が描く戦国大名みたい)。

 そして、そのヌラディンがシーア派とスンニ派の統一という意味も含めて、エジプトの内乱に乗じて攻め入った時の大将の補佐役みたいな存在だったのがサラディン。エジプトのファティマ朝を若くして滅ぼし、やがてシリアやイラクを含むアユーブ朝をひらくのですが、十字軍国家に対する攻撃には慎重を期します。しかし、いったん開始し始めると、あっという間に崩壊させるような盤石の体制をつくりあげ、そして意図通りに、しかも紳士的というか、騎士道精神にあふれるやり方でイェルサレムを逆解放するんです。塩野さんの作品はだいたい読んでいるんですが、ここまで塩野さんが惚れ込んでいる人物というのは、カエサル、チェーザレ・ボルジア並なんじゃないかと思えるぐらい。
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