重松清さんの著作を読むのは「流星ワゴン」に続き2作目です。
前作同様、タイトルと帯に惹かれて、本作を手に取りました。
この作品の内容を一言で表現すると、「いじめを苦に自殺をした一人の少年」の周囲にいた人々(または、強制的に関わりをもたせられた人々)が、どのように死と生を背負っていくのかを、丁寧な心理描写で綴る物語、です。
本作を、暗いとか、重いとか、感じる方もいらっしゃるだろうと思いますが、私にとっては、生き続けてゆく人々の姿を、夢や希望で塗り込めて虚像にするのではなく、水平の目線で真摯に愛情を込めて描いた良作だと思えました。
また、最終的には、読み手が前向きに生きてゆく力を得られるように、配慮されている作品だとも思えました。
網のような人間関係のなかに、ぽっかりと空いた穴は、決して埋められることはないのだという事実を、改めて思いました。
小説を読んで涙することは時々ありますが、嗚咽が漏れて最後のページを閉じられなかった作品は、本作が初めてでした。
初めてレビューを書く気持ちにさせられた作品でもありました。
10代前半の頃に、読んでみたかったとも、思いました。