昨今、古今亭志ん生師ばかりが、もてはやされています。いかにも落語を体現しているような噺家だから、人気があるのもわかりますが、三遊亭圓生師の見直しは、全く遅れていると言えないでしょうか。例えば円生師のビデオなどたくさんあるのに、いまだ、DVD全集が出ないのは、何故でしょうか?(小学館にお願いしたい)「円生百席」や、この「十八番集」の発売で、人気が再燃してくれれば良いと思っているのは私だけでしょうか。
円生師の話芸は、幼少期より培ってきたもので他者の追随を許さないものであり(談志も昭和の名人と褒め称えている)、特に聴取者を自然に話に引き込む力量と安定した語り口はずば抜けており、例えば、現在のうまいといわれる噺家が、円生の得意ネタをやったものと聴きくらべれば(見比べれば)、一聴(一目)瞭然です。円生師は、話を完全に体で覚えこんでしまっているといった感じです。またその得意ネタの多さも古今無類でした。本来なら、この十八番集の他にあと二箱はできるでしょう。
このセットは、昭和38年頃、LPで、3枚組の箱もの3セット、合計9枚で企画・発売されたスタジオ録音集で、円生師のまさに壮年期(といっても60代半ば)の円熟の話芸が堪能できる優れたものです。「円生百席」に比べると声が若々しく、またまくらも短い分、円生話芸の真髄が味わえると思います。円生師に興味のある方なら買って損は無い宝物といえます。