デビュー20周年という節目に発表された、
BUCK-TICKの(メジャーでは)13枚目のオリジナル・アルバム。
93年のDarker Than Darkness、94年のSix/Nine以降はロックやテクノ色が強くなったり、
メロディアスなバラード、疾走曲の比重が高くなったりと、常にスタイルを変化させていたBTですが、
今回はそれとは比べ物にならない程の大きな作風の変化を見せ(何しろコンセプトは“ゴス”ですし…)、
漆黒の闇の如く暗く耽美的な世界観は、長年のキャリアに裏打ちされて成熟し、
それでいて過去作品と同等か、それ以上に聞きやすいポップさも兼ね備えています。
恐らくは各自のソロ活動(ヒデさんは作品を発表するまでには至らなかったですが…)、
特に今井さんがLucyという新しいフォーマットを得た事で、
初期衝動的なロック(本人曰く“ロケン”)を好きなように出切るようになり、
改めて櫻井さんの声の魅力を最大限に生かしたスタイルを構築しようと思ったのかも知れません。
メインテーマの不気味なインストが随所に挿入される中、囁くように唄われる2.降臨、
ディストーション加工されたVoが印象的な4.Cabaret、
樋口さん(ついユータと呼び捨てそうになる…/笑)のパーカッシブなベースが跳ねる5.異人の夜、
疾走感溢れる溢れる8.ALIVE、妖しい儀式のような雰囲気が漂う9.月蝕など、
曲調はバラエティに富んでいながら、全編を通して耳に残るシンセやピアノ、
BTらしいギターの音色もあって統一感も抜群です。
今作を聴いてまず思ったのは、櫻井さんのVoの表現力の凄さ。
7.Goblinのような昔のキャバレーを意識した曲も見事に歌い上げ、
9.月蝕の巧みなコーラスやシャウトワークは素晴らしいとしか言いようがありません。
そして今井さんとヒデさんのメロディ・メーカーとしてのセンスも存分に発揮され、
12.Passionの悲痛な叫びはどこまでも儚く、14.Romanceは長いキャリアの中でも珠玉の美しい旋律が聴けます。
ヤガミさんの正確でありながら独自のグルーヴを持ったリズムワークも冴え渡り、
上の2曲のイレギュラーなビートを難なくこなしています。
流れも非常に良く練られており、クライマックスにはレトロでダークなダンストラック16.夢魔
(この曲のアレンジワークも見事です)から、17.DIABOLOで暗黒のサーカスは幕が下り、
あのメインのインストがフェードアウトしていきます。
デビュー20周年にして未だ挑戦的な姿勢を崩さず、
常に素晴らしい作品を作り続けるBUCK-TICKの凄さを改めて思い知らされる1枚だと思います。