「日本が世界に誇る」なんてキャッチフレーズをつけた映画は数多いが、その多くは「お願いだからやめてくれ」というものばかりだった。日本ではもしかして金をかけたエンターテインメント映画は作れないんじゃないか、そんな暗澹たる思いを持ってしまう程に。
そんな中で送り出されたこの作品はスタッフ、キャストの「本気」が見える、最高峰のエンターテインメントである。リアルで大規模なセットを作って、それを壊す贅沢さ。恐れずに残酷な描写をし、それを後の展開への布石にする堂々たる演出、今となっては貴重な時代劇らしいセリフ回し。セリフ回しはやや難解に聞こえるが、それでもちゃんと分かるように画で見せる工夫がなされているため、語り口はよどみない。
後半あれだけ怒涛のアクションが続くにもかかわらず、時間経過とともに微妙にアクションの質を変化(トラップ、集団戦、一騎討ち)させていくことによって飽きることがないし、個性豊かに描かれた13人は本当にひとりひとりが最高に格好良い。
霧が立ちこめる早朝の村でのショットなどは痺れるほどに美しく燃えるカットであるし、序盤の伏線が後半で活きる構成も王道ながら熱い。
稲垣五郎演じる悪役が本作のオリジナリティーを象徴しており、王道のストーリーをちゃんと語りながら、個性を発揮する三池崇史の本領発揮といった作品。三池崇史の特徴は「職人芸」としてちゃんと映画を作りつつ、要所要所で自己流の「スタンドプレー」を見せるところだと思うが、それがここまで高い次元で果たされた映画はあまりなかった。
ラストでは、現代の映画として、戦の行きつく先の光景も見せている。刺客たちの死にざまが決して格好いいとは言えないものが多いのも、意図してのことだろう。格好よく散らないからこそ格好いい、という演出。
時代劇だから、と避けず、是非とも観ていただきたい映画である。これだけ面白い映画に金をかけて、しかもちゃんとヒットを飛ばした、ということが何より嬉しい。日本だって、まだまだやれるのだ。