内容紹介
【医療情報 情報処理技術編 第2版】の概要
第1章 コンピュータの基礎
第2章 ネットワーク技術
第3章 データベース技術
第4章 情報システムの開発と運用
第5章 システム管理
第6章 情報セキュリティ
医療情報技師に求められる情報処理技術の「基礎力」とは,パソ
コンの操作ができるという意味ではない.現場で直面する問題は,
さまざまな機器,さまざまな情報システムが関わり,そこで求め
られるのは類推する力,応用する力であり,これには情報技術の
原理,原則,考え方の理解が必須である.第1章「コンピュータの
基礎」は真の「基礎力」を養うことを目的として,煩雑な近年の
コンピュータの成り立ちを平易でありながら精密に説く.第2章
~第6章は,近年の医療情報システムを支える情報技術の柱であ
る「ネットワーク技術」,「データベース技術」,「情報システムの
開発と運用」,「システム管理」,「情報セキュリティ」について,
最新の技術も交えて基礎を解説する.
著者からのコメント
有限責任中間法人日本医療情報学会 理事長 井上 通敏
平成13年7月に政府の総合規制改革会議は重点6分野の改革案を示したが,医療分野の改革の冒頭に「医療に関する徹底的な情報開示・公開」,「IT化の推進による医療事務の効率化と医療の標準化・質の向上」を指摘し,医療改革のためにITを積極的に導入すべきことを国策として打ち出した.(中略)しかし,ITが医療改革に貢献できるためには解決すべき問題がいくつかあり,これはグランドデザインにも指摘されているが,その一つは,現場で医療ITを担える技師の育成である.医療情報技師はITに精通しているだけでは駄目で,医療のことを十分に理解していることが必要である.言い換えると,上記の医療ITに課せられた目的を実現しようとすれば,医療の透明性とはどのようなデータを用意することなのか,医療の質とはどのような指標で表されるのか,安全性を向上させるには医療現場の情報処理をどのように改善すべきか,医療の効率とはどのように定義され,その改善はどのようなデータで測られるのか,といったことを理解できなくてはこれを仕様化してITに委ねることができない.実は,いま示した問題に対して明〓快な解答を与えないままに医療へのIT導入を急いできたことが,これまで十分な成果を出せなかった理由の一つと考えられている.病院にコンピュータを設置すれば自動的に病院がよくなるのではなく,そのコンピュータを使いこなしてはじめて病院が変わってくる.どこの病院の院長も医療の質向上や経営効率の向上をコンピュータに期待しているが,院長から言葉の具体を聞き出し,これをコンピュータにもわかるように翻訳し,動かすことが「医療情報技師」に期待される役割である.
米国においても医療のIT化が国策となっているが,これを実現するために医療ITを専門とする10万人のSEが必要だと指摘され育成が急がれている.日本では,100床あたり一人の医療情報技師が必要だとすると,少なくとも1万人から1万5千人を早急に育成することが必要である.
少子高齢化が進む日本の社会では保健・医療・福祉分野の比重が高まらざるを得ないが,量的拡大と平行して質の向上と効率化に取り組まねばならない.とくにIT化とこれを生かす医療情報技師の役割は大変重要である.
日本医療情報学会では,平成15年から学会主催で「医療情報技師能力検定」の実施を始め,4千人近くの方に受験していただいた.今後,日本病院管理学会,日本診療録管理学会など関係学会と連絡しながら,講習会や能力検定試験の充実を図り,わが国の医療ITに貢献できる医療情報技師の育成に努める方針である.
--このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。