同じ著者の『高齢者医療難民』を読んで、そこで”暴露”されている医療政策の決定過程に驚きを感じるとともに、なぜいま”医療崩壊”が深刻化しているのかという原因の一端を知ることができたが、その続編が出ないものかと心待ちにしていたところ、ついに発売されたので早速購入して一気に読んだ。さまざまな具体例を取り上げながら、医療問題の現状分析とその背景にある医療政策の決定過程の解説を平易に論じており、門外漢にも読みやすい(ところどころ小難しい話もあるが、ある程度は仕方ないだろう)。”医療崩壊”を論じた本のほとんどは医者の手によるもので、それはそれで現場の悲鳴が分かっていいのだが、医療政策に関わった当事者による本は他に例がなく、”医療崩壊”関連書の決定版とも言えるのではなかろうか。単なる事実関係の解説に終わるのではなく、社会保障についての考え方も提示されており、その点でも興味深い。中谷巌、吉川洋、榊原英資といった論客達への鋭い批判も大変読みごたえがあった。最後の章で触れられている財源問題については、今後もっと具体的な議論が必要になってくるだろう。