間違いなく良書である。「良薬は口に苦し」、可能な限り客観的な立場から政治的思惑を排して書かれた、現状では殆ど唯一の著書である。
○医師不足ではなく、問題は診療科・地域の偏在である
○時間帯によっては、実は医師は余っている
○「地方に医者が来ない」説はウソ、人気病院が幾つもある
○女性医師が仕事と育児を両立できる環境がない
○マネジメントと人事を真剣に考えていない病院が多い
○医療側も患者側も、よりよい医療のために発想の転換が必要
○救急医療は、本当に「救急」の患者だけであれば充分に維持できる
○産科医の苦境の要因のひとつは、日本人の「自然分娩信仰」
古いタイプの医師や利害関係者は怒るだろうが、いずれも正論である。
予算の「質」は全く考慮せず、予算さえあれば解決すると単純素朴に考える元財務官僚の方も、この著書を熟読すべきだろう。
『医療崩壊の真犯人』村上正泰尚、医療予算が足りない点に関しては、90年代にあれほど高所得者の所得税税率を引き下げたのをすっかり忘却している開業医の皆様にも責任はある筈だ。