医療行為に限らず、人間による人間に対する介入行動の判断は、現存する研究データに基づいて、その時点でのベストのものでなければ、介入する立場としての責任を放棄していることに等しいのであろう。だから、自分なりに、臨床疑問をPICOで表わし、文献は正確に読み、批判的吟味を行ってきたつもりでいた。改定版である本誌には、初版に比べ、哲学、患者の価値観、判断という言葉が繰り返し出てくる。エビデンスという一見無機的な言葉とこれらの人文科学的用語がいかにもそぐわず、不思議な感じがした。しかし読み進めると、納得する。エビデンスをどう使うのか、決定するのは己の意思、尊厳を持った患者であり、医師は奉仕者なのだという、筆者らの極めて謙虚な姿勢が見えてくる。疫学から生まれた臨床疫学、臨床疫学から発生したEBMが独自の進化、深化を遂げていることがわかる。また、(エッセンシャル版)第1版の翻訳者である古川壽亮氏が、著者として参加しているのもうれしいことである。