2008年1月リリース。初出は『日経メディカル』2007年2月〜2008年1月。海堂尊の8冊目の本。読み出してすぐ気がつくが、これは『ジーン・ワルツ』の最後に出てきた双子の赤ちゃんの『薫』くんの方が主人公だ。薫君はゲーム理論学者の父の方にいるらしい。つまりもう一人の『忍』が産婦人科医の母の方にいるということなのだろう。きっとそのうちに『忍』の方の話も出てくるということだな。パパとママはどちらも凄いのにどうも『薫』くんはフツーらしい。まあ、そういうことも遺伝学的にはあるな。
まだ中学生の『薫』が医学の世界を体験するうちに沢山の人と出会う。作者は中高生向きに書いたようだがオトナが読んでも気持ちが熱くなってくるのを感じる。特にラストでの父の格好良さと息子のたくましさ。そして医学に真剣に取り組んでいる人の真摯さに思わず涙しそうになった。
海堂作品はどれも『Warm At Heart』だ。文章のテクニックなど関係ない。登場人物の魅力がそういう細かいモノを遙かに凌駕している。変に媚びるような文体の芥川・直木受賞作の数倍は多くのモノを残す傑作だ。