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匣の中の失楽 (講談社ノベルス)
 
 

匣の中の失楽 (講談社ノベルス) [新書]

竹本 健治
5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (17件のカスタマーレビュー)
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匣の中の失楽 (講談社ノベルス) + 黒死館殺人事件 (河出文庫)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

探偵小説狂の仲間うちで黒魔術師と綽名されていた曳間が殺害された。しかも友人のナイルズが現在進行形で書いている実名小説が予言した通りに……。弱冠22歳の青年が書いたこの処女作は伝説の名著となった。巻末には綾辻行人との対談、また秘蔵の創作ノートも同時収録。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

内容(「BOOK」データベースより)

長らくの間絶版状態で、一部のマニア以外には知られることのない、まさに“幻の名作”だったこの作品が、このたび新たな装いで“復活”した。

登録情報

  • 新書: 478ページ
  • 出版社: 講談社 (1991/10/30)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4061815873
  • ISBN-13: 978-4061815872
  • 発売日: 1991/10/30
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.8 x 3 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (17件のカスタマーレビュー)
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22 人中、20人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 もっと眩暈を, 2004/3/31
By 
レビュー対象商品: 匣の中の失楽 (双葉文庫) (文庫)
 生涯ベスト1の作品。僕の読書生活のイデアで、今も本を読み続けているのは、もう一度この作品を読んだ時の体験を味わいたいからだと言っても過言ではないです(なんて書く時はたいてい言い過ぎてますが)。

 ストーリーを説明するのは難しい(と言うか意味がない)作品で、大学のサークル内で起こった殺人事件を、サークルのメンバーが調査したり議論したりするという本格ミステリ的なストーリーですが、通常の意味でのミステリ的な解決には主眼はないです。この作品の凄さは全篇に満ちている空気感で、それは言葉で表すのは難しいけど、あえて言うなら現実崩壊感となるでしょうか。読み進めていくと僕たちが確固たると思っている「現実」が実はとても曖昧で、すぐにでも壊れてしまうものなんじゃないか、さらにはいや最初から「現実」なんてものは存在しないんじゃないかという風に感じられて、強烈な眩暈感があります。京極夏彦の作品から受ける感覚に少し近いんですが、京極夏彦があくまでロジカルに現実崩壊感を導き出すのに対して、竹本健治はその文章の力で、感覚的、生理的な部分で実崩壊感を突きつけてきます。この感覚は「竹本印」と言っていいくらいに独特で、かつ竹本作品には(濃い薄いはあっても)普遍的に存在するものだと思います。この感覚を味わったことで、ものすごく深いところで世界観が変ったように感じます(それが良いのかはまた別ですが)。

 この眩暈感は体験しないとわからないので、未読の方はぜひ御一読を。またこの作品が気に入った人は他作品も読んでみてください。同じような匂いのある作品としては、京極夏彦「魍魎の匣」、津原泰水「ペニス」、山口雅也「奇偶」、グレッグ・イーガン「祈りの海」などがあります。

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36 人中、28人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 『三大奇書』の後裔、ついに!, 2002/10/28
レビュー対象商品: 匣の中の失楽 (双葉文庫) (文庫)
 中井英夫の『虚無への供物』(1964年)小栗虫太郎の『黒死館殺人事件』(1935年)夢野久作の『ドグラ・マグラ』(1935年)…は埴谷雄高によって黒い水脈とされる日本探偵小説の嚆矢だ。その世紀の『三大奇書』の後裔として、この『匣の中の失楽』(1978年)は発表された。

 その講談社版ではインド学研究者の松山俊太郎の解説が付された(これもスゴイけどw)…。

 ところが!然るに!

 今回の双葉文庫版では、な、なんと、「綾辻行人との対談、また秘蔵の創作ノートも同時収録」(100P超!)だそう…こりゃ買うでしょ!(≧∇≦)~~*

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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 霧の中の迷宮への誘い, 2011/3/11
By 
mutantmogura (横浜市) - レビューをすべて見る
(トップ1000レビュアー)   
レビュー対象商品: 匣の中の失楽 (講談社ノベルス) (新書)
本書は竹本健治の処女作であり、おそらく現在のところ最高傑作であろう。
本格ミステリにチャレンジして、一応ミステリとしての形をなしている。
ミステリ好きによるミステリ好きのための作品といえる。
もちろん「幻影城」連載作品だから、当然であろう。

「黒死館」や「虚無」を彷彿とさせるようなペダントリィが満載だが、それもけして難解なものばかりではない。
難解なのは本書の構成であり、どこに真実が有るのかに、読者はとまどうわけである。
著者の目的はこの読者を迷わせるところにあり、本来ならもっときれいに着地するはずだったのであろう。
それがこのような形になった背景はもちろんあるのだろうが、それも含めて著者の意図を読み解くことが、本書の最大の面白さであろう。

ストーリーの表面上の解決がつく分、ミステリとしてのストーリーの厚みはそれほどない。
しかし、それを補ってあまりある先達へのチャレンジ精神という、若さだけが持ち得る熱気が満ちあふれている。
私の初読は作中人物たちと同年配のときであり、連載をリアルタイムで読んだのち、幻影城刊行のハードカバーを熱病に罹ったような気分で読んだことを覚えている。
講談社文庫版は何度か読み直し、その年代ごとに感じるものがある。
特に現在は、登場する若者達すべてに対して、とても暖かい目で見ることができる分、各人の心理的な動きに対する著者の配慮を楽しむことができた。

さまざまな年代の人に読んでほしい作品であるが、特に作中人物たちと同年配の若者達には、ぜひ一度この迷宮に立ち入ってほしいと思う。
ただし、著者の意図した真実は、作中人物と同じように霧の中を彷徨っているのである。
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