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北風に起つ―継体戦争と蘇我稲目 (中公文庫)
 
 

北風に起つ―継体戦争と蘇我稲目 (中公文庫) [文庫]

黒岩 重吾
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

空白の大王位に即くのはだれか。北方勢力を背景として大和への進出をねらう男大迹王=継体と、新時代に優勢な地位を占めようと画策する蘇我稲目。6世紀初頭の倭国を舞台に、大王位をめぐり知略をつくして繰り広げられる男の戦いを壮大なスケールで描く、黒岩重吾の古代史長篇小説。

登録情報

  • 文庫: 637ページ
  • 出版社: 中央公論社 (1991/11)
  • ISBN-10: 412201851X
  • ISBN-13: 978-4122018518
  • 発売日: 1991/11
  • 商品の寸法: 15 x 10.8 x 2.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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形式:文庫
謎の継体天皇の時代に、後の蘇我氏隆盛の基を築いた蘇我稲目について書いた、作者の知識と想像をふんだんに駆使した力作である。
継体天皇が北から南下して、大和に入ろうとする時代、稲目は自己の智謀で、大和の豪族達、そして、継体天皇までもを翻弄する。
己の妻達をも政略の道具とし、他人に貢ぐその姿は、節操がなく、滑稽で、親しみさえ感じる。稲目に対して、口癖のように、どこそこの姫に早く子供を孕ませよ、と命令する父親の蘇我駒も良い味を出している。そして、『首長である父にまず相談し、敵にご自分の妻を売ってはいけませんと』進言する、妙に頑固者である叔父の高田臣。人間臭い蘇我氏がそこにはある。

しかし、小説とはいえ、断定的に書きすぎなのではないか。特に豪族たちの出自が、新しかったり、バラバラなのが気になる。現代と違って、豪族は出自にうるさかったはずである。いくら実力があっても、それは致命的。継体天皇も仲間はずれにされた口なのではないか。
また、前代の武烈天皇に誅されたはずの平群氏が出てくるのも気になるし、こんなに派手に戦争状態にして良いのだろうか?

ところで、題名中の『北風』とは誰なのだろうか?筑紫君磐井が西風と書かれているので、継体天皇を指していると思われる。
しかし、作中にも出てくる堅塩姫(きたしひめ)が何故『かたしお:現在の大和高田市の古地名』姫と呼ばれないのかについての疑問にも思い当たるふしがある。『し』は『風』を意味する。『きたし』とは『北風』とも書ける。後世蘇我氏有力者の首が堅塩漬けにされたので、『かたしお』は忌み言葉となり、わざわざ言い換えるのだとの言う人もあるが・・・。風の森のある葛城は、風神の国でもあった。
堅塩姫は旧王朝の血を継いだ欽明天皇の大后となって蘇我氏の隆盛を決定づける。
北風とは誰なのか、生きておられる内に、是非作者に伺ってみたかった。
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形式:文庫
地方の王者である継体天皇が、大和勢力の抵抗に遭いながらも、実力と忍耐をもって、最後は大和の大王として迎えられるという物語です。もう1人の主人公である蘇我稲目は、継体天皇に敵対する大和勢力側の才気溢れる若者として描かれます。壮年の継体と、若年の稲目。相反する二人を主人公として置くことで、両勢力の活躍が緊張感を伴って語られます。また大伴金村、物部尾輿といった有名人から三輪君、茨田連、巨勢臣など諸氏百官に至るまで同時代の人物が余すところなく登場し、作者の古代史への探求と考察の深さには驚かされます。私が最も好きな場面は、作品中盤に展開される、平群真鳥・鮪親子が寡兵と承知しながらも決戦に臨む場面です。記紀には、平群真鳥は、自分が大王たらんとする野心のために滅ぼされたとあり、いわば歴史上の悪役なのですが、ここでは神聖な大和磐余の地を汚さんとする奸族を討つべく勇気と策謀をもって挙兵する英雄として描かれています。創作上の面白さが随所に散りばめられており、黒岩氏の最高傑作としての評価に値する作品だと思います。
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3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 青頭倶楽部 トップ50レビュアー
形式:文庫|Amazonが確認した購入
六世紀前半、古墳時代中期の倭(日本)。空席になっていた大王位に名乗りを上げた
男大迹王(継体天皇)と、それに抵抗する豪族たちの策動、そして智謀の氏族・蘇我氏を
率いる稲目の戦略が絡み合い、各氏族の生き残りを賭けた熾烈な攻防戦が描かれる。

歴史小説ではあるが、時代が時代だけに作者・黒岩重吾の想像によるところが大きい
作品でもある。蘇我氏は百済からの渡来系に設定されているし、22代清寧から25代
武烈までを実在の天皇とは認めていない。また継体以降を新王朝と規定するなど、
大胆で独創的な黒岩史観に基づいていることは承知しておく必要はあるだろう。

とはいえ、この時代をここまで面白く読ませてしまうのはさすがは黒岩だなと感心する。
男大迹王は人望に富み、知略に優れた人物に描かれ、一方の稲目は狡猾ではあるが、
人間くさい面もあって魅力的だ。男大迹王と稲目の策謀バトルは、乙巳の変まで続く
大王家VS蘇我氏の確執を暗示させて興味深い。蘇我・物部・大伴・平群などの豪族が
大王位を巡ってどう決着をつけるのか?異色の歴史小説はしっかりと読ませてくれる。
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