日本人になじみのない北欧王族を、わかりやすく紹介しようと言う工夫はなされている。読みやすい文章である。
本書ではスウェーデン女王クリスチーナ、デンマーク王妃マチルダ(イギリス人ではあるが)、スウェーデン王グスタフ3世の3人を紹介している。
北欧「悲史」とあるが、自ら退位した女王クリスチーナは、悲劇の人ではない。人選も、スウェーデン王2人に、デンマーク王妃1人。何を基準にしたかわからない。スウェーデン王家に絞った方が、わかりやすかったと思う。
しかし3人とも、日本でも知名度はいまいちなので、この本で紹介する意味はあったと思う。
また、本書ではグスタフ3世暗殺後の、スウェーデン王についても触れている。現在のスウェーデン王室の祖は、フランス人であるが、その経緯が驚きである。
グスタフ3世暗殺後息子のグスタフ4世が即位するが、ナポレオン戦争下の混乱を収めることができず追放される。その後、グスタフ4世の叔父カール13世が即位するが、高齢で子がなかった。それ以前に、ナポレオンのせいで、スウェーデンの国家の自体が滅亡の危機にさらされたのである。
結局ナポレオンの部下ベルナドッテが皇太子に迎えられ、後カール14世となる。血のつながりのない外国人が、養子縁組して皇太子となるのは、世界史上でも極めて稀なケースである。スウェーデンを救ったカール14世だったが、その一生は不幸だった。スウェーデンを嫌い、王妃はほとんどはフランスにいたまま、臨終にも来なかった。スウェーデン人の中でフランス人が1人、孤軍奮闘しなければならなかった。
歴史はしばしば国家にも国王にも個人にも過酷な運命を強いるものである。
著者はこの言葉で、本書を結んでいる。