まず頁数が少ない。130頁ぐらいしかない。そして、写真がやたら多い。ちなみに写真はとても美しく、写真集のように楽しむことができる。北欧の美しい光、そして静謐にして凛とした空気を見事にファインダーで捉えている。頁数が少なく、写真が多いということは、文字数が極めて少ないということで、したがって情報量も少ない。スウェーデンの事例が3つ、デンマークの事例が1つ紹介されているのみである。その国の背景となる理解は、印象論を越えず、したがって事例を知るうえでは参考になるが、北欧のノーマライゼーションの背景をしっかりと理解するうえでは不十分な内容である。
このように不十分な本であるにも関わらず、読後感は悪くない。読んで損したという気分にはまったくならない。まあ、新書などに比べても、あっという間に読めてしまうというのもあるが、そのような気持ちにさせてくれるのは著者が背伸びをせずに、自ら事例と相対しながら、その限られた知識の中でも、北欧のノーマライゼーションを理解し、読者に伝えたいという真摯な気持ちがあるからではないだろうか。
そして、写真の美しさは、この本に特別な価値を与えている。これが2000円だったら、それでも文句を言ったであろうが1400円というのは妥当な価格である。