物語は氏康の幼少期からはじまる。ある日、小田原城近くの沼地で大筒の試射が行なわれた。幼き氏康はその爆裂音に怯え震えが止まらない。祖父以来、武勇で名を馳せる北条家の後継ぎとして、屈辱とも言える弱虫の烙印を押されるのである。だが、氏康に仕える家臣たちは、この弱虫若君を見放さなかった。厳しくも温かい養育で、一国を治める武将へと導いていくのである。やがて16歳になった氏康は、時の関東管領・上杉朝興軍と武蔵小沢原で対峙。陽動作戦で上杉軍を翻弄し、見事初陣をかざるのであった。以後、祖父早雲の遺志・関東制覇を一心に念じ、今川義元、武田信玄等と互角に渡り合い、ながら、ついに「河越夜戦」で上杉軍を降し、事実上の関東の覇者となるのである。
卓抜なる軍略と民政で関八州を制した名将の、堂々たる生きざまを描く力作。
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子供の頃の話は完全に作者の創作である。少年時代から氏康を手取り足取り支えていく風魔
小太郎の存在が主人公を食うほどのカッコよさであったりする。全体的には尻切れトンボの感も
あるが、そもそも北条氏康ほどの人物を400ページ弱で語るのが無理な話で、著者は健闘して
いると思うし、氏康公について書いてくれたこと自体、一ファンとして深く感謝したい。
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