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まず、北朝鮮への帰国事業が、なぜ成立したのかというと、当時社会経済的地位が低かった在日朝鮮人が「地上の楽園」であると、総連とマスコミによる強烈なプロパガンダにより信じてしまった結果であることが明らかになっている。この意味では、戦後最大、最悪のプロパガンダであり、それに積極的に加担した『朝日新聞』のようなメディアは、断罪されなければならない。
そして、「帰国者」を待ち受けていたのは、身分制度と同様の、制度的な差別であった。さらに、北朝鮮社会が、封建王朝そのもので、すなわち封建専制体制が社会主義の装いをしているということだ。そうした中で、「王」たる「首領」体制に従順であれば最低限の生活は保障される体制で、人々の思考能力そのものが失われ、「領民」と化している様が明らかになっている。
そうであるがゆえに、金日成の死は、こうした王朝体制が一気に弛緩し、結果「最低限の生活」すら成り立たなくなり、それが餓死に直結するようになったところ、著者は北朝鮮脱出を試み、辛うじて成功している。結果、帰国するが、再定住支援は一切なく、結果として、「豊かな」日本において社会的に阻害される結果となっている。
しかしながら、帰国事業そのものが、北朝鮮、マスコミの壮大なウソによって成立したことからも、著者は正真正銘の「被害者」であり、現在進行形の北朝鮮の国家犯罪を断罪するためにも、著者のような人物に対しては支援を惜しんではならないのではないか。おりしも、坂中英徳・元東京入管局長によって「脱北帰国者支援機構」が設立されるが、こうした活動が極めて重要であろう。
著者は在日(父)と日本人(母)との間に生まれたハーフなのだが、日本では朝鮮人として、北朝鮮では日本人として差別され続ける。その内容は悲惨を極める。また、著者の家族が亡くなるその亡くなる時の様子は、典型的な日本人における日本人の亡くなり方とは異なる。日本社会には日本社会の問題点、不条理が存在するのも事実ではあるが、日本ではどんなに貧しくとも人間に関する尊厳はある程度保証されていると言っても良く、その点で日本は北朝鮮に比べ非常に恵まれていると思う。
最後に、著者も述べているが、北朝鮮から帰国する日本人や(現在基本的に受け入れていないが)日本へ亡命する朝鮮人が日本社会に定着するための教育・訓練施設は今後拡充される必要があると思われる。★5
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