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北朝鮮へのエクソダス 「帰国事業」の影をたどる (朝日文庫)
 
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北朝鮮へのエクソダス 「帰国事業」の影をたどる (朝日文庫) [文庫]

テッサ・モーリス・スズキ , 田代泰子
5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (15件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 840 通常配送無料 詳細
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商品の説明

内容紹介

国際政治の壮大な物語と個人の人生の物語を交錯させた、これまでにない歴史の書。帰国事業の定説を覆した話題の書。日本、北朝鮮、韓国、米国、ソ連、中国、そして赤十字。冷戦下、各々の思惑によって帰国事業が始まり、歴史が隠蔽されたことを、筆者は世界を旅しながら読み解いていく。文庫版では新資料が提示され、「読み終わったあと、深い静かな感動が全身に伝わってくる」「イザベラ・バードの『朝鮮紀行』に匹敵する名著」と、姜尚中氏が解説を寄稿。

内容(「BOOK」データベースより)

日本政府と官僚、北朝鮮、韓国、米国、ソ連、中国、そして赤十字。冷戦下、各々の思惑が絡み合い、「帰国事業」は始まった。世界を旅して衝撃の新資料を発見、隠蔽された歴史の真相を読み解く。歴史に翻弄された個人の人生を真摯に見つめる筆者の眼差しが心を揺さぶる。

登録情報

  • 文庫: 432ページ
  • 出版社: 朝日新聞出版 (2011/9/7)
  • ISBN-10: 4022617063
  • ISBN-13: 978-4022617064
  • 発売日: 2011/9/7
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (15件のカスタマーレビュー)
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By 小僧 VINE™ メンバー
形式:単行本
1959年12月より始まった在日朝鮮人の「帰国事業」。一体彼らはなぜ北朝鮮へ渡ったのか?そこには、冷戦下の様々なアクターの思惑があった。

経済的負担であり、また治安上の「脅威」として認識されていた在日朝鮮人の一掃を図る日本政府。経済発展の為に労働力を欲し、かつ外交・安全保障戦略の上で日本とのつながりを開き、同時に日韓国交正常化交渉を妨害したい北朝鮮。安保条約を最優先し、岸政権の帰国事業に暗黙の支援を与えた米国。帰国事業を平和共存という潮流の中で推し進めることで世界の中で影響力を確立したいソ連。著者による「帰国の旅の跡」をたどっていく本書によって、読書はまさに冷戦の一側面を目の当たりにすることになる。

P28「個人の人生についてのささやかな物語と、世界政治の壮大な物語とが交錯したとき、いったいどういうことが起こるのか?」
P29「大きな歴史と小さな歴史が交錯し、作用しあう点を発見すれば、その関係を多少なりとも理解するための、人間的洞察が得られるかもしれない。」
P255「共存は別の種類の暴力を覆い隠すこともした・・・。力の均衡を保つために、両サイドの力あるものが陰で手を組み、事実上のパートナーとなって、力のない者の権利を踏みにじった。」
P255「北朝鮮への帰国は、究極的には冷戦の分断線をまたぐ暗黙のパートナーシップによる創作だった。」

特に感銘を受けたのは著者の歴史の叙述の仕方である。国家間の権力政治を描くのみで「人の顔の見えない」単なる国際政治史に陥ることなく、かといって人々の悲劇を具体的に描写するだけで考察を大きな物語の中で展開しない単なるルポに陥るわけでもない。国際政治の激動に飲み込まれ、翻弄される人々の声を汲み取りつつ、冷戦という大きな物語を描き出す著者の叙述には、同じく歴史を専攻するものとして、深く感じ入るものがある。歴史書としてジョン・ダワー『敗北を抱きしめて』と並ぶ名著だといえよう。
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11 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
北朝鮮への帰国運動が決して在日朝鮮人の自発的な行為でなかったことは巷間言われている通りであり、今更疑問を挟む人も少ないだろう。

しかし、時の経過とともに開示されることとなった数々の資料を基に、

1. 治安や財政面の理由から在日朝鮮人を排除したい日本政府の思惑
2. 国際的プロパガンダとして利用したい北朝鮮
3. 人道主義の美名の下に関わるもコントロールを失う国際赤十字

という図式を丁寧に解いてくのは、さすがに学者の仕事と言えるでしょう。

何の根拠も示さない憶測や単なる言いっ放しがまかり通る日本のジャーナリズム、ノンフィクション作品とは一線を画すものです。

帰国した在日朝鮮人の悲惨な運命について日本政府や赤十字に直接的な責任を問うべきものではありませんが、少なくとも帰国事業後期/末期においては、帰国者がどのような扱いを受けたか気づいていたはずであり、それでもなお国外への送り出しを推進したという点についてはあまり褒められたものではないでしょう。(ここから先は「北朝鮮『偉大な愛』の幻」(ブラッドレー・マーティン)などの北朝鮮研究本によるべきかと。)
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34 人中、24人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By miyajee
形式:単行本
従来言われていたように、帰国事業はあくまで在日朝鮮人の自発的な運動であり、赤十字はそれに対して支援の手を差し伸べたにすぎない、ということが間違っていたという本です。

機密解除された国際赤十字文書によって、自発的とされた在日朝鮮人の帰国運動は、実は日本政府、および日本政府に強く結びついた日本赤十字が仕掛けた、一種の策謀の結果だったというのが本書の主張です。それに各国の思惑が絡まって事業が推進され、10万人近くが北朝鮮に送られたと指摘しています。実はこれらの内容は張明秀などの著作でも指摘されていたのですが、根拠のないこととして批判をされていたことです。(モーリス−スズキも「私の立場と張明秀の主張するところは必ずしも一致しないが、赤十字社幹部の行動をめぐる仮説は、私がジュネーブで目にした情報と符合する点がいくつかあるようだ」と述べています)

その具体的な内容ですが、国内の朝鮮人が北朝鮮と結びついて過激化し、暴動等が発生することをおそれた日本政府が、彼等を北朝鮮に送還することを考えます。ですが、もともと二つの朝鮮を認めない韓国政府の反発によって、政府の事業としての実施は見送ります。

そこで、今度は日本赤十字を使って赤十字国際委員会に対して、人道的な観点からの帰還を支援するように強固な働きかけを実施するのです。国際機関による人道的な活動であれば、韓国も手を出せないからです。経済発展を目指す北朝鮮としても人手が必要でしたし、「大躍進運動」による人手不足で中国軍が撤退した後の国防についても同様に人手が必要だったことからも、帰還運動は受け入れられます。

日本政府は国内朝鮮人の生活保護受給要件を厳しくし、彼等の困窮度は深まります。その一方で、総連による、北朝鮮は夢の楽園であるかのようなプロパガンダが展開されるのです。

こうして10万に及ばんとする在日朝鮮人は、その殆どが半島南部の出身であるにもかかわらず、見たこともない北朝鮮に、新生活を夢見て渡ることになるのです。

国際赤十字が開示した文書が本物で、かつ著者が正しく読み取っているならば、という前提ですが、大変に説得力があります。

通説を徹底的に論破しているという点では★5つに値する本なのですが、本書には新聞に対する記述と評価が殆ど欠落しています(ないわけではないのですが)。総連による朝鮮学校などを通じたプロパガンダによるところは大きいとは言え、新聞などのメディアが加担したことも、帰国運動が大規模化した理由だと思われます。そのあたりに触れないのは、謝るのが大嫌いな朝日新聞の本らしいな、とつい嫌味を言いたくなります。

また、サンフランシスコ条約締結に伴う国籍喪失については著者とは異なる見解が存在するようですね。このあたりはもっと勉強してみます。
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