東郷氏の視座と志の高さ、教養と能力の高さに感嘆を受ける。そして彼の「北方領土返還」にかける情熱、16年という長い年月− そして後世に託すその想い、読んで思わず涙がでた。日本史の中で、時間をかけても読むに値する良書、記録と感じる。
彼が関わった中では、機会は5度もあり、そして最後は、まさに「返還」に王手がかかったにも関わらず、時代は違う方向へと進んでしまう。
彼は、この本を通じて、広く国民に、当時出来なかった説明をしている。その説明の内容はかなり踏み込んでいると思う。多くの国民が東郷氏と彼のチームを再評価すると感じる。外務省に、高潔な外交官が国益の為に活躍された事を嬉しく思う一方、東郷氏が辞めざるを得なかった当時の「鈴木宗男事件」に関わるポリティクスは、一体何だったのかと思う。
佐藤優氏が解説を26ページ執筆されている。より時代の流れが解りやすく、ポイントを抑えた解説。氏も言われているように、東郷氏と佐藤氏の著作を読むことで、冷戦後の北方領土交渉をより立体的に捉えることができる。