本巻での最大の見どころは、天賦の才を持ちながら、一度は世を捨て自暴自棄に生きていたものの、愛する者のために立ち上がったあの男と、世紀末覇者ラオウとの壮絶な死闘。そう、雲のジュウザとラオウの死闘だ。
ラオウやトキに匹敵する才能を持ちながら、縛られる生き方を厭い、運命に翻弄され、遊び人となっていたジュウザが、今一度、拳の道に立ち戻り、ただケンシロウが南斗最後の将の下に行く時間を稼ぐためだけに、命を賭してラオウの行く手を阻むのである。
ジュウザ自身も承知のことであったと思うが、才能が同等であったにしろ、数々の修羅場をくぐり抜け、拳に磨きをかけてきたてたラオウの前に、ジュウザは敗れ去る。乾坤一擲で放った撃壁背水掌もラオウに紙一重でかわされ、ジュウザはラオウに秘孔・解唖門天聴を突かれ、南斗最後の将の正体を問い詰められるも耐え抜き、全身から血を噴いて壮絶な最期を遂げる。
その死に様は、何ものにも縛られぬ生き方を望みながらも、己の運命を正面から受け止め、己の矜持を貫き、戦いに殉じた拳士そのものであった。まさに、北斗の拳屈指の名シーンであろう。