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司馬氏の小説によくある、時代背景や登場人物の系譜、思想などに関する余談や脱線があまりなく、すらすらと物語が進む。
司馬氏の、思考を舐めるような記述や余談が好きな方には、少し淡白に感じるかもしれない。
物語は、後に剣豪として名を馳せた人物の青春物語で、一門を興して道場を開くまでの話。千葉周作の晩年は、幕末のいろんな出来事が起きて彼も多くの人物と触れ合うはずだが、その晩年については触れていない。
特に歴史小説に興味が無い人にでも、抵抗無く読める小説だと思う。
剣の道を極めるためには一切の妥協をせず、師匠にさえ歯向かい意見をし、自身が研究を重ねて開いた北辰一刀流を広めるため多数の流派が競い合う上州へと乗り込み、中でも最大の勢力を誇る馬庭念流へケンカを売り次々と相手を打ち破っていく周作。意思が強いわりには周囲に流されやすく、クソ度胸を持っていながら優しい繊細さを持ち合わせている姿が凛々しく清々しく書かれています。
司馬遼太郎作品というと、その独自の歴史観・人物観・日本人観などが込められていて、難しいものと思っている人もいるかと思います。確かに本書にも、そういったものがところどころに見られはしますが、そんな小難しいことは置いといてかまいません。とてもおもしろい剣豪小説の傑作です。
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