上下2巻で、この上巻には、処女詩集「邪宗門」と第二詩集「思ひ出」が収められています。「邪宗門」は未だ古典的香りが強く漂っていますが、次の「思ひ出」になると、白秋の豊かな詩情が香り立ち、その中でも「断章六十一」あたりから俄かに白秋らしい近現代的感覚あふれた詩情に満たされ、さらに、「接吻」「汽車のにほひ」「どんぐり」「赤い木太刀」「赤き椿」等々、我々の心に容赦なく浸透し、圧倒してきます。清廉な詩情はそのまま「下巻」へと引き継がれ、繚乱として咲き乱れるのです。「下巻」の素晴らしさは「下巻」の拙筆レビューを参考にして頂けたら幸甚です。
殺伐とした現代にこそ訴えかけてくる白秋詩です。迷える現代人にこそお薦め。
願わくば、最低限の「語句の注」を添えてあれば、今の若い人により一層読みやすい本になったろうと思います。改訂の機会あれば是非お願いしたいところです。
シンプル・イズ・ザ・ベストの見本のような本のカバーは素敵ですね。