今までのチェン・カイコー作品の色調はどちらかといえば「激しさ」や「憎しみ」が垣間見える、赤のイメージがあったのですが、今回は青の印象が強い。それも透明感のある、水のような青。
今までは、人間の暗い部分や醜い部分を描くことが多かったチェン・カイコー。
今回は一転して、やさぐれた人間たちが少年の奏でるヴァイオリンの音色に心動かされて希望を見いだしていく姿を描いています。
確かに少年と父親の親子の情愛物語でもありますが、この作品は、ひたむきに生きる人間の姿に触れることで失っていた情熱を取り戻していく人間たちの再生の物語として見ることも出来ます。
このブルーは「希望」と「再生」の象徴なのでしょう。
チェン・カイコーの作品ということで覚悟してたのですが、予想は見事に裏切られました。いい意味で裏切ってくれました。
チェン・カイコーというと、美しいけれどどこか退廃的で暗さがある作品が多かったのですが、今回の「北京ヴァイオリン」にはそういった不穏な要素は一切見られず、最後まで安心して見ることが出来ました。
素直な気持ちで観られる映画で、最後は心が温かくなります。
こんな映画がつくれるようになったチェン・カイコーの変化が他人事ながら嬉しくなってしまいました。